カッツ
2025/10/30 07:38
七人の侍
1954年公開、黒澤明監督による『七人の侍』は、三船敏郎と志村喬を主演に据えた、日本映画史に燦然と輝く傑作である。
舞台は戦国時代の天正年間(劇中の台詞によれば1586年)。野武士による略奪に苦しむ百姓たちが、わずかな握り飯を差し出して七人の侍を雇い、村を守ろうとする姿が描かれる。
侍たちの人間味と百姓たちの切実な願いが交錯する中、騎馬武者との決戦シーンは圧巻。雨と泥にまみれた実写の迫力は、現代のCGでは到底再現できない生々しさと緊張感に満ちている。
黒澤監督の緻密な演出と、三船敏郎の荒々しくも情熱的な演技、志村喬の静かな威厳が融合し、単なる時代劇を超えた人間ドラマとして深い感動を呼ぶ。
“言わずもがな”の名作であると同時に、何度観ても新たな発見がある、日本映画の原点とも言える作品だった。
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