カッツ
2025/11/01 07:42
鍵 (1959)
1959年公開、市川崑監督による『鍵』は、谷崎潤一郎原作、濃密で心理的な官能ドラマである。主演は京マチ子と中村鴈治郎。
イタリアのサルヴァトーレ・サンペリ監督作品を思わせる部分もあるが、それ以上に陰湿で粘着質な空気が漂っており、日本的な情念の深さが際立っている。
中村鴈治郎が演じる初老の大学教授は、妻(京マチ子)との性生活を維持しようと、日記を使った心理的な駆け引きや、若い男の介入など、さまざまな策を弄するが、やがてその執着が破綻を招き、死に至る。
舞台は鎌倉と思われ、当時の教養層の生活や住まいの雰囲気が丁寧に描かれている。直接的な裸体描写はないものの、性的な緊張感と心理的な露出が強く、公開当時は成人映画指定を受けた。
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