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京介 バッジ画像
2025/12/24 17:01

人類危機一髪!巨大怪鳥の爪

人類危機一髪!巨大怪鳥の爪

 1957年 アメリカ 日本劇場未公開

スタッフ 監督:フレッド・F・シアーズ 製作:サム・カッツマン 脚本:サム・ニューマン、ポー

     ル・ギャンジェリン 撮影:ベンジャミン・H・クライン 音楽監修:ミーシャ・バカレイ

     ニコフ 

キャスト ジェフ・モロー、マーラ・コーディ、モリス・アンクラム、ルイス・D・メリル、エドガー

     ・バリアー、ロバート・シェイン、クラーク・ハワット、モーガン・ジョーンズ、フランク   

     ・グリフィン ほか

北極圏の基地でレーダーのテストをやっている電気技師のミッチが、飛行中に謎の巨大飛行体に遭遇。レーダーはミッチの機体しかとらえていなかったので、半信半疑だが軍は3機の要撃機を発進させるが1機が行方不明。更に民間機も1機消息を絶つ。ミッチと数学者のコリーが戻る途中に乗っていた輸送機も、UFOに襲われ墜落。二人はたまたま居合わせたフランス系の農夫ピエールに助けられるが、その夜彼の農場にもUFOが飛来する。この時被害はないが、後に怪鳥がピエールの農場の近くに巣を作っていることが分かり、ミッチとコリーの狙撃で卵が壊されるが、その巻き添えでピエールは怪鳥に食われてしまう。

本作は、1957年のSF怪獣映画をカラー作品として復元したもので、製作は「水爆と深海の怪物」等レイ・ハリーハウゼン作品で有名なサム・カッツマン。監督はハリーハウゼン作品を手懸けてきたフレッド・F・シアーズ。特撮スタッフには当初ハリーハウゼンの名前もあがっていたが実現しなかった。本題に入るが、しばしば「史上最低の特撮モンスター映画」とも呼ばれる作品である。何が最低なのかというと、映画の最大の売りである巨大怪鳥のデザインと造形だ。いかにもパペットといった感じの造形や、素人に毛が生えたようなミニチュア操演も安っぽい。日本の特撮怪獣映画『空の大怪獣ラドン』を参考にしたとも言われるが、いやあ、ラドンと比較することすらおこがましかろう。どうしてこうなったのかというと、原因はプロデューサーのサム・カッツマンにあった、ありとあらゆるジャンルの低予算プログラム・ピクチャーを大量生産した、ハリウッド黄金時代の底辺層を代表するB級映画プロデューサーだった。この『人類危機一髪!巨大怪鳥の爪』もそのひとつだった。レイ・ハリーハウゼンの特撮スタッフが実現しなかったのも、ストップモーション・アニメは金がかかり過ぎると判断したからだろう。ちなみに、最大の見せ場であるクライマックスの怪鳥ニューヨーク襲撃シーンだが、写真を切り抜いただけの平面ボードばかり崩れ落ちる建物の下敷きになったり街中を逃げまどったりする人々を捉えた群衆パニック・シーンは、どれも『地球の静止する日』('51)や『原子怪獣現る』('53)など別の映画のフィルムを流用している。米軍の地上部隊や戦闘機が怪鳥を攻撃するシーンも、第二次世界大戦や朝鮮戦争の記録映像を使用。まったく手抜きにもほどがあります。余談だが、。'24年5月に発売された日本盤DVDだが、本作は公式にカラー版が作られたことは一度もなく、

出所不明の劣悪な本編マスターを使用した海賊盤である。ただ、劇場公開から半世紀以上を経た今になって見ると、これはこれで妙に味があるというか、「酷すぎて逆に面白い」と感じてしまうことも否定は出来ず、当時のアメリカ空軍との迫力ある戦闘シーンや緊迫感あふれるドラマ演出など、50年代SF映画の代表作の一本ともいえる作品です。

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