DISCASレビュー

映画『パリのちいさなオーケストラ』（2022年、マリー・カスティーユ・マンシヨン・シャール監督、ウーヤラ・アマムラ主演）は、アルジェリア系の少女ザイアがパリ近郊の音楽院から名門音楽院に編入し、指揮者を目指す実話ベースのヒューマンドラマ。女性指揮者が世界で6％しかいない厳しい環境で、エリート学生ランベールや高級楽器を持つ生徒たちに囲まれ、田舎者とやじられながらも、世界的指揮者チェリビダッケ（ニエル・アレストリュプ）の指導を受け成長。パリ市内の上流階級の生徒と移民の多い地元の友人をまとめ、貧富の壁を超えたディヴェルティメント・オーケストラを結成する。ラヴェルの「ボレロ」やフォーレの「夢のあとに」など名曲が彩りを添え、ザイアの情熱と音楽の力が胸を打つ。