DISCASレビュー

かずぽん
2025/10/15 23:55

吸血鬼ノスフェラトゥ

2014/05/08に投稿した拙レビューです。何かの参考になれば・・・

 

【元祖吸血鬼】

 

原作は、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』で、F・W・ムルナウがこれを映画化した最初の監督。
このDVDの特典の中で語られていたが、原作者の許諾を取らないまま無断で映画化、題名も『ノスフェラトゥ(不死者)』と改めたそうだ。
無断だったため、ムルナウなりの想像力を働かせ、原作とは別の地名や人命に変更したらしい。
ストーカーの未亡人は、“著作権侵害”と“盗作”で裁判所に訴え、「吸血鬼ノスフェラトゥ」のネガとプリントをすべて差し押さえて闇に葬ったという曰くつきの作品だ。
原作小説の著作権が消滅した1960年代になって、幻の名作と言われていた本作がやっと日の目を見ることになった。
これらの経緯やあらすじについては、特典の「吸血鬼ノスフェラトゥの伝説」で詳しく解説されているので、興味のある方はそちらを参照していただきたい。
 

本作の製作年は1922年。
その古さと保管状態の悪さで画像はかなり劣化している。
無声映画なので説明部分と台詞は字幕となっており、あとは出演者の表情や演技から内容を知ることになる。
しかし、十分伝わってくるし、本作のリメイクである1979年の『ノスフェラトゥ』を先日鑑賞したばかりだったので理解し易かった。
両方を見比べてみると、後者がオリジナルに忠実にリメイクされていることが分かる。(相違点といえば、ラストの部分のみか?)
技術的な問題もあり、昼夜の区別がつかない―夜も昼間のように明るい―という難点があり怖さも薄れてしまうが、90年以上も前の作品と思えば、どこか感動めいたものを感じる。
現代によく知られている吸血鬼とはその姿も、吸血鬼が眠る棺の様子も違う点が興味深い。
ノスフェラトゥは、彼が葬られていたのと同じ墓の土で棺を満たし、そこで眠るのだ。
その棺にネズミも入っていて、そのネズミたちがペストなどの疫病を運んでいる。昔は吸血鬼などの化け物が疫病をもたらすと考えられていたそうだ。
吸血鬼が喉に噛み付く時の牙が、ノスフェラトゥではネズミのような前歯ということになっているが、本作では画質が悪いせいか私はそれを確認できなかった。
しかし、壁や階段に映る影は、頭が丸く、手の爪は長く尖っていて、静かに恐怖が近づいてくるという不気味さは伝わってきた。
吸血鬼に詳しい教授が登場して、彼が後に不死身のモンスターハンターとなるのだと思うと、何となく感慨深くもある。
ドラキュラ好きの方は、オリジナル、リメイク共に是非。
 

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1 件の返信 (新着順)
趣味は洋画
2025/10/16 22:07

かずぽんさん
>2014/05/08に投稿した拙レビューです。何かの参考になれば・・・

何かの参考になるどころか、「ノスフェラトゥ」に関する要旨を簡潔にまとめられていますね。
記されているように、【元祖吸血鬼】...これもズバリですよね。

本欄でも2投稿、しっかり拝読させていただきました。

余談ですが、
この「DISCASレビュー」というコーナーに、次から次へと単なる映像+小コメントのような記述だけが載ったものが、毎日出てきますが、いったい何なんでしょうかね....いつも疑問に感じております。


かずぽん
2025/10/17 00:17

洋画さん。
コメントをありがとうございます。
10年も前に投稿したレビューですが、読み返してみると間違いがいくつかあったので、その間違い部分の記述だけカットして此処に載せました。
私のレビューはご存知のように備忘録の意味合いが強いですから、他の方に比べたら長くなってしまいます。詳細まで書くのか、簡潔に書くのがよいのか、もう各々の癖や好みなのかもしれませんね。
ただ、知りたがり屋の私はあらすじまでご紹介してくださっているレビューに「いいね」してしまいます。