DISCASレビュー

カッツ
2025/11/19 07:48

愛の渦

2014年、東京・六本木の高級マンションの一室で、深夜0時から5時まで開かれる乱交パーティを描いた作品である。親の仕送りを使って参加するニート青年や、性欲の強い女子大生など、バスタオル一枚の姿で集まった男女が、ぎこちない会話を交わしながら徐々に肉体を重ねていく。

乱交パーティと聞いて想像するような、派手で淫靡な世界とは程遠く、描かれるのはむしろ淡々とした、味気ない空間だった。砂を噛むような虚しさが漂い、そこにロマンもラブも見出すことはできない。ただただ、欲望の空虚さと人間の孤独が残る。

刺激的な題材でありながら、観終えた後に残るのは不快感ではなく、妙な余韻と虚無感だった。人間の本質を覗き込むような、冷徹で鋭い視線を感じる作品である。

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