夏映画5選!
いやー、暑いッスね。
健康改善目的で最近わざと真っ昼間に炎天下でウォーキングをして南国に行った人並みに日焼けしている、じょ〜い小川です。
それで今月のお題は「夏映画」なんですね。まだ梅雨に入ったばかりらしいけど、暑いから夏ということにしましょうか。
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『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(2016年)
それで早速まず最初に挙げたいのが、
リチャード・リンクレイター監督・脚本・製作作品『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』。
この作品は同監督の高校生の夏休みを描いた『バッド・チューニング』(1993年)や、『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年)の精神的続編に当たる作品で、テキサスの大学の野球部連中の1980年の8月28日から4日間を描いている。
野球部とは言ってもどこか同好会的なノリのボンクラ連中で、毎夜毎夜クラブに繰り出してはナンパ&セックスやり放題だは、酒飲んで踊って夜を明かす、そんな繰り返し。
筆者は野球部ではないが、軽音部でバンドをやりつつ、夜は飲みまくったり、ディスコやクラブに頻繁に繰り出して朝まで遊びまくったクチなので、この映画には異様にシンパシーを感じてね。
中身は違っても、これに近い経験を高校か大学で「あったな〜」という方ならかなりハマる。
また、音楽も良い。まずタイトルがヴァン・ヘイレンの3rdアルバム『暗黒の掟』の2曲目のタイトルから由来していて、このこともあってか、後半にヴァン・ヘイレンの1stアルバム『炎の導火線』にある名曲「Ain't Talkin' 'bout Love」がいいシーンでかかる。
そしてラストシーンがまた意味深でいい。
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『歩いても 歩いても』(2008年)
続いては是枝裕和監督・脚本作品『歩いても 歩いても』。阿部寛が演じる主人公・良多が奥さん(夏川結衣)を連れて、15年前に亡くなった弟の命日に合わせて鎌倉の実家に帰省するという話。良多以外にもYOUが演じる姉夫婦も合わせて帰省し、夏の日に離れ離れで暮らす家族が横山家のひとつ屋根の下に集まる。
筆者も大学1年までは毎年夏のお盆シーズンに父の栃木の実家帰省について行ったけど、まさしくあの感覚なんですよね。映画ではそんな中で主人公・良多が父の若かりし日の秘密を聞いたりもする。
この父親役を演じているのが晩年の原田芳雄で、夕食のシーンでのナチュラルな会話がなんとも微笑ましい。それと母親役の樹木希林の飄々とした演技も相変わらずで心地良い。
また、この映画は息子や娘たちが両親、あと亡くなった次男という家族構成から小津安二郎監督作品『東京物語』に近いながらも息子や娘たちが両親の家に訪れる構図は『東京物語』とは真逆だったりする。
そんな田舎の爺ちゃん・婆ちゃん家に夏の日に行く気分をまるまる味わえるという意味では夏らしい映画である。
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『菊次郎の夏』(1999年)
そしてこの北野武監督の代表作の一つも今回入れたい。
北野武監督作品というと『その男、凶暴につき』や『ソナチネ』、『アウトレイジ』シリーズみたいなバイオレンスのイメージをする人が多いかもしれないが、『菊次郎の夏』はバイオレンスがない北野武監督作品の代表作と言っても過言ではなかろう。
東京の下町の祖母の家で暮らす小学三年生の正男が夏休みを利用して遠くに住んでいると思われる母親に会いに、ひょんなことで関係を持った祖母の友人の旦那・菊次郎を同伴の保護者として旅をするけど、まぁ珍道中の連続。半分切ないシリアスとビートたけしらしいナチュラルなブラック・ユーモアのセンスが融合した作品で、この2つの組み合わせは『アキレスと亀』でも見られるが、こちらの方が塩梅が良い。
見知らぬオジサンとの二人旅という奇妙な夏休みの様子が何とも印象的で、個人的には北野武監督作品の中でも上位で挙げたい映画でもある。
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『サマードレス』(1996年)
短編映画ではあるが、フランソワ・オゾン監督の最高傑作なのでこの映画も入れたい。フランソワ・オゾン監督のプロとしてのデビュー作に当たる本作。
友人と共にバカンスで海にやって来たミックが、あるちょっとしたトラブルから海辺で知り合ったルシアのサマードレスを借りることに、という小話。
まず、ガチガチのLGBTのGの映画で、野郎同士のソレがかなりストレートかつハードなので、この手の映画・表現が苦手な方にはおそらく無理かもしれない。が、ノンケの筆者でもここまでハードだと「凄い!」という感情に変わる。
ミックの友人がフランス版の「Bang Bang」を聴きながら珍妙な踊りを踊るのが何とも印象的だが、映画としては中盤に起こるあるトラブルの解決策の一発ネタの映画ではあるが、それがシンプルで良い。
また、女性が着る青いサマードレス1アイテムだけでちょっとしたドキドキ感や恥じらい、ブラックな笑いを出すは道具の使い方の絶妙さや海辺の風景の良さ、色彩感覚など、フランソワ・オゾン監督のエッセンスが凝縮された映画でもある。
中盤の展開から考えるとGというよりはBの映画であり、後の『焼け石に水』にも通じる短編とも言えよう。
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『張込み』(1958年)
最後に挙げたいのが、松本清張原作、橋本忍脚本、野村芳太郎監督作品の『張込み』。宮口精二が演じる下岡と大木実が演じる柚木の刑事のバディコンビが質屋殺しの共犯・石井を追って、佐賀に乗り込み、石井の関係者であるさだ子に目星をつけて、刑事コンビがさだ子の家の対面にある旅館で張込み捜査をする、という刑事もの。映画の見どころとしてはヒッチコックの『裏窓』のようなショットでの地道な張込みシーンだが、その地道さが生々しく、張込みらしい。
と、ここまでボクの記事を読むと、
「ん?夏、関係なくね?」
と思うかもしれないが、
ところがこの映画、昭和33年当時の夏の辛さが良く出ている映画でもある。
まず、序盤の横浜から夜行列車に乗っての博多経由の佐賀までの旅が現在ではあり得ないぐらい過酷。乗車率が凄く、途中まで通路で経ってる様子が辛い。また、夏なのかエアコンというのがまるでなく、いい大人がワイシャツを脱いで人前でランニングシャツ姿になるは、旅館に着いたら中居とは言え女性の前で平気で「あちー、あちー」と言いながら肌着&ステテコに着替えるなど、昭和の夏の過酷さが次々と見られる。
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ということで、とりあえず5本挙げてみました。