村松健太郎
2024/02/13 17:42
ガイ・リッチー初の社会派ヒューマンサスペンス『コヴェナント約束の救出』
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』でデビューし、以降ロバート・ダウニー・ジュニアの『シャーロック・ホームズ』や『アラジン』などとにかく娯楽性を突き詰めてきたガイ・リッチー監督。
近作の『ジェントルメン』、『キャッシュトラック』、『オペレーション・フォーチュン』などの英国を拠点にした作品群も娯楽アクションでした。
そんなガイ・リッチーが外連味を一切排したゴリゴリのリアル路線に初挑戦したのが『コヴェナント約束の救出』です。
9.11の報復としてアフガニスタンに侵攻したアメリカはアフガニスタンに新たな政治体制を確立します。
常駐する米軍には現地の人間が通訳などの形でスタッフとして参加していました。
米軍曹長のジョンは敵兵に囲まれ瀕死の状態に陥りますが、通訳のアーメッドの命がけの行動によって九死に一生を得ます。
米軍撤退後、再びタリバンによる政権掌握が起き、かつて米軍に協力していた地元の人間たちは追われる身に。アメリカに帰国していたジョンはアーメッドもまた命を狙われていることを知り、再びアフガニスタンに向かいます。
この設定の部分だけがドラマチックなのですがそれ以外の部分は徹底してリアルテイスト。人の受ける心的、身体的痛みもリアルに伝わってきます。映画としては一つの決着を迎えますが、現実を見ればこの事象はまだまだ続いている現在進行形の出来事。非常に重みのある映画となっています。
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