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私の好きな映画

「関心領域」世間のレビューと衝撃的テーマがすごい!

熱弁担当、ダメ沢直樹です。

さぁ、今年最注目の映画といわれる「関心領域」

(アカデミー賞長編映画賞、カンヌ国際映画祭グランプリなど多数受賞)

・・・・見終わってから考えるのが興味深い

 

 

まず、驚いたのは世間のレビューの精度。

なぜか点数が低くて3.5辺りで止まっている。

うーん、なぜだろう、と思って観に行った。

 

ドラマとしての部分が無く、ある意味、淡々と流れる。

そこで賛否が分かれ、極端な点数になっている。

 

ただ、映画館で観る体験としてすごく「映画」している。

これを配信などで気軽にお家で見ても、シリアスな覚悟は伝わらないだろう。

 

メッセージ性を「置く」のではなく思いっきりこちらに投げてくるからだ。

それもうるさいくらいに不気味に。(だからホラー映画より怖いと称される)

 

アウシュヴィッツ強制収容所の隣に住む家族。

庭の塀の向こうには収容所で人を焼く煙が上がる

 

大抵は、このあらすじを知っていて映画を観るが、

これまったく予備知識無くしてみたら、あまりに不親切で時代すらわからない。(普通年代と場所が字幕で出る演出がない)

 

ネタバレのない範囲で言うと、さらに年代に仕掛けがあるのだけれど

とにかく、淡々とカメラを回す日常に重要なメッセージを置いたのだろう

(カメラをたくさん仕込んで演技をしたという)

 

わかりづらいように見えて、実はわかりやすい演出。

かなり恣意的に花の色の鮮やかさの怖さに焦点を当てる。

 

しかし、メイキング部分も聞くと、

隣の収容所から聞こえる銃声や、声もリアルに再現されているというので興味深い。

アカデミー賞録音賞を獲っている。かなり忠実に隣から聞こえる銃声や叫び声を再現しているという。

 

「なにもない」や「ダラダラしすぎ」「オチがない」という

感想はあんまりすぎるが、意図的に、そうしているし、

思いっきり、こちらにメッセージを投げつけている。

 

素晴らしい構図がいくつか印象的で

「建物の光と影」

「干された白いシーツに隠れた部分」

「絢爛豪華なドイツ将校の会議場の装飾」

など風刺画のように現代社会にメッセージを投げる。

 

これは決して、限定的なホロコーストへの関心を叫ぶものではないのではないか。

 

「戦争反対」が主たるメッセージではなく

映画を観ている「あなたも当事者なのだ」ということを言っているようだ。

 

後半のシーン。ドイツ軍将校の会議がめちゃくちゃリアルに描かれていて

議題を読み上げ進む会議の肌触りが伝わってくるシーン。

多くの証言を基にした作り込みがすごい。

戦死した少年兵たちの葬列の時間割の話が挟まれるのがまたリアルな現場を再現している。

 

では、ちょっとずつネタバレもしていきたい。

演出はハッキリ言ってうるさい部分がある。

 

おどろおどろしい音楽、

ブラックアウトや真っ赤に染まる画面、

 

これをうるさいくらいの演出にしたのは、このテーマを流して欲しくないからだろう。

気に障るくらいにうるさいので逆に、真っ赤な画面は忘れまい。

 

そのシーンは庭の美しい花の描写から始まり、いつのまにか画面が真っ赤に染まる。

後のシーンで収容所から運んできた灰を養分にした土から咲いていることがわかる

(こうしたことがだんだん繋がっていく)

 

収容所にはユダヤ人の焼却炉がある。

それをいかに効率的に焼却していくか、を設計者と所長は考え続ける。

(こうした事実はドキュメンタリーをよく見る人にはあまりに有名)

 

子供の奇行。小さなつぶやきに似たそれは、別に普通ともいえる。

しかし、終盤のシーンで、子供部屋の窓が開いている。

そこから収容所の声が丸聞こえで、銃声や怒声、嘆き叫ぶユダヤ人の肉声が

届いてしまっているのだ。それが子供の精神を蝕み、子供は独り言を繰り返す。

 

さて最重要なメッセージが最後に出てくる。

 

いきなり年代が現代に飛び、

当時の炉が展示された常設展が映される。(唐突に、である)

そこにはユダヤ人を焼いた焼却炉、それとガラス板の向こうに無数の靴が山となっている。

無数の松葉杖、亡くなった人の顔写真、

大切なのは、それをたんたんと掃き掃除する係員の日常、だろう。

 

ここにも

「日常」があり

ガラスの向こうに「歴史の事実」がある。

 

急にまた時代が戦争に戻り、ドイツ将校は

吐き気を催しながら帰路に就く

 

そう、悲劇、でも群像劇、でもなく、

吐き気を提示してくる映画なのだ。

 

良い映画だったなぁ、芸術的だったなぁ、で終わらせたくない監督は

きっとフックとしてうるさい演出を施したのだろう。(映画批評家には悪趣味とも評されていた)

 

やはり現代そのものにも「吐き気がある」という当事者意識がテーマになるだろう。

故に、戦争反対、や悲劇の描写で終わろうとしていないのだ。

 

この映画を必見として

押さえておく、くらいの関心領域は持っておいて欲しいと願う。

 

と、いうことで忘れられない映画体験。後から知れば、たくさんのなるほど、や視点が出てくるという意味で

やはりすごい映像作品なのだろう。

 

こうした社会勉強のような映画は安く見れるとか、学生無料とか、なにかないものですかねぇ(;'∀')

YouTubeで考察しました↓

 

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2 件の返信 (新着順)
LOQ
2024/05/30 23:03

今日観て参りました。 
予想通り静かに淡々と進みますが、ショッキングな内容でした。
川遊びのシーンとか。
ポーランド人の下女とかは『 ソフィーの選択 』を思い出しました。

アウシュビッツ収容所長のルドルフ・ヘスは実在の人物ですね。
ハンガリーのユダヤ人抹殺計画の話が出てきますが、数学者のピーター・フランクルさんのご両親は収容所の生き残り。

点数が低いのは、欧米に比べると日本はホロコーストへの知識も関心が薄いからでしょうか。
大量の靴や松葉つえは本物なのでショックですね。

僕は評価したい映画です。
パンフレット売り切れで残念でした。


ありがとうございますー!なるほどピーターフランクルさんってそんな逸話があるんですね。
関心の薄さはいかほどなんでしょう。案外若い人はほぼ知らないのかもですね。
人間を考えることにおいてこれほど示唆に富む暗い歴史はないんですどね。現代はとにかく打たれ弱く辛抱できない条件反射ができてしまうのかも。どんどん語っていくべきな映画ですね。

はじめ バッジ画像
2024/05/29 08:39

点数低いですね!!僕も今週観るので、ダメ沢さんの記事は前半しか読んでいませんが「劇場用映画」な気がしてます!堪能してきます🙋‍♂️


コメントありがとうございます!
みんなで感想共有して語り合う場を儲けたいですね。