ストーリー

k.a
2026/01/26 07:26

マザー!

『マザー!』(原題: mother!)は、私にとってダーレン・アロノフスキー監督の作品の中で最も強烈で、観終わったあと放心状態になる「悪夢のような寓話」で、何度観ても心がざわつくけど、だからこそ忘れられない一本です。2017年の映画で、ジェニファー・ローレンス演じる「母」とハビエル・バルデム演じる「彼(詩人)」が、古い家で静かに暮らしているところから始まるんですよね。

最初は穏やかな夫婦の日常に見えるけど、突然現れる見知らぬ夫婦(エド・ハリスとミシェル・ファイファー)が、次第に家を侵食していく過程が、もう息苦しくてたまらない。ドアが壊されたり、プライバシーが無視されたり、母の不安がどんどん増幅していく。そこから映画は加速して、聖書的な寓話(創造主と人類、犠牲と信仰、母なる大地の破壊)として爆発的に展開していくんです。

一番衝撃的なのは、母の「家=自分の体・子宮」を象徴する描写。妊娠、出産、喪失、群衆の暴走、火災…すべてが寓話として容赦なく描かれてて、観てるこっちまで体が痛くなるような感覚になる。特にクライマックスの「心臓を差し出す」シーンは、静かだけど残酷で、ジェニファー・ローレンスの絶叫と表情がもう胸をえぐる。ハビエル・バルデムの「詩人」は、神のような創造主なのに、無関心で自己中心的で、人間(群衆)の欲望をただ見守るだけ…その冷たさが怖いくらいリアル。

アロノフスキーの演出は天才的で、カメラが常に母の視点に寄り添って、手持ちカメラの揺れや狭い家の中の閉塞感が、観客を不安に追い込んでいく。音響もすごくて、足音、ドアの音、叫び声が徐々に増幅して、頭の中がパニックになる。聖書の創世記から黙示録までを、現代の「母なる地球の破壊」と重ねたテーマは、重すぎて観終わったあとしばらく放心するけど、それがこの映画の狙いなんだと思うんですよね。

批評家や観客の評価が極端に分かれるのもわかる。ホラーとして観ると「怖すぎる」、寓話として観ると「深すぎる」、ただの夫婦ドラマとして観ると「意味不明」…でも、私にとっては「人間の欲望と創造の残酷さ」をこれほど容赦なく突きつけてくる映画は他にない。ジェニファー・ローレンスの演技も、キャリア最高峰の一つで、彼女の恐怖と絶望が画面から溢れ出てる。

 

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