危うくて深い“つながり”『FEMME フェム』
はいさい!めんそーれ!
映画大好き沖縄人エリオです🌺
オンライン試写会にご招待していただき『FEMME フェム』を鑑賞させて頂きました!

FEMME フェム
2025年/イギリス/ラブサスペンス/監督:サム・H・フリーマン&ン・チュンピン
いやー強烈な作品でした
鑑賞後の余韻がたまらない
暴力、欲望、愛、赦し
その全てが渦のように入り乱れ、最後に残るのは互いのむき出しの感情
ジュールズとプレストンの関係は、言葉にするのが難しくて複雑
しかし、観終わった後に感じたことは
あそこには傷ついた者同士にしかわからない、危うくて深い“つながり”があったのかもしれない
■目次
1ドラァグクイーン ジュールズが背負っているもの
2“男らしさ”に閉じ込められたプレストン
3憎しみのその先にある、赦し
■作品概要
『FEMME フェム』は、2021年に英国アカデミー賞にノミネートされた短編映画を元に長編化
ロンドンのクラブで観客を魅了するドラァグクイーン・ジュールズが、ある夜に襲われる
数ヶ月後、彼は偶然にも加害者・プレストンと再会。復讐を決意し接近するが、次第に相手の中に複雑な感情と弱さを見出していく――。
(※公式HPおよびallcinemaより引用)
■あらすじ
ドラァグクイーンとして舞台に立つジュールズは、ある夜クラブの帰りに男に暴行される。
数ヶ月後、ゲイサウナで偶然出会ったその男・プレストンこそが犯人だった。
ジュールズは復讐のために近づくが、プレストンの中に抑えきれないセクシュアリティと弱さを感じ始める。
1ドラァグクイーン ジュールズが背負っているもの

ステージの上に立つジュールズはまばゆい
堂々としていて、声も動きも美しく、観る者を惹きつけて離さない
序盤で一気にその輝きを見せつけるあのシーンは、まさにジュールズの“表舞台での姿”
物語が進むごとに段々と感じてくるのは、その輝きの裏には「強く見せること」で自分自身を守る、鎧のようなものを感じた
舞台を降りれば私たちとなんら変わらない、ひとりの人間
襲撃されたあとのジュールズは、ステージにも立てなくなり、メイクも落とし、ドラァグクイーンとしての自分を封印するように日々を過ごす
“派手な見た目”の奥にあるのは、孤独や恐怖
それでもなお、自分であろうとする強い意志
そのすべてを背負いながら、ジュールズはドラァグクイーンとしての「自分」を輝かせ、内にあるアイデンティティーを守ろうとする
2.“男らしさ”に閉じ込められたプレストン

悪ぶって、強がってばかりのプレストン
ジュールズにも最初は力や態度で主従関係を示し、「男」であることを必死に見せつける
しかし、その裏には自分のことがバレてはいけないという不安が見え隠れしている
誰にも言えない自分を抱えて、これまでずっと押し殺してきた”本当の自分”
ジュールズと関わり、物語が進むにつれて、その“見せかけの強さ”がどんどんと剥がれていく
次第に本当の自分が内柄から姿を現していく過程は目が離せない
3.憎しみのその先にある、赦しという選択

ジュールズがプレストンに近づいたのは、復讐のため
しかし、関わるうちに憎しみとはまた別の感情が芽生えてしまう
ジュールズはプレストンを赦したいわけではない
しかし、ただ“憎む”だけではいられない
プレストンの中に見える“弱さ”が、ジュールズの心を段々と揺らしていく
そして迎える怒涛の後半とラスト
最後に迎えるあのシーンで強い余韻を残して物語は幕を閉じる
以上です。
いやー強烈でした
鑑賞後の余韻がたまらない
最後のあのシーンをどう受け取るのか?
あれを一体どう解釈するのか?
ぜひラストシーンは自分の目で確かめてみて欲しいです

■出演
ネイサン・スチュワート=ジャレット
ジョージ・マッケイ
アーロン・ヘファーナン
ジョン・マクリー
アシャ・リード
■スタッフ
監督: サム・H・フリーマン、ン・チュンピン
脚本: サム・H・フリーマン、ン・チュンピン
製作: マイルズ・ペイン、サム・リッツェンバーグ
撮影:ジェームズ・ローズ
編集:セリーナ・マッカーサー
プロダクションデザイン:クリストファー・メルグラム
衣装:ブキ・エビエスワ
音楽:アダム・ヤノタ・ブゾウスキ
3月26日(水) にて公開