DISCASレビュー

カッツ
2025/10/07 22:26

離愁 最高のラストシーン

戦争を背景にしたラブロマンスの傑作。音楽も素晴らしく、物語の余韻を深めてくれる。一押しの作品だ。

タイトルは『離愁』となっているが、現代的な感覚では「列車」という言葉でもよかったのではないかと思う。物語は、ドイツ軍の侵攻を受けたベルギーからフランスへ逃れるラジオ修理屋ジャン・ルイ・トランティニアンと、謎めいた美女ロミー・シュナイダーの出会いから始まる。

二人は列車の中で偶然出会い、短い時間の中で恋に落ちる。しかし、ジャンの妻子は別の列車に乗っており、家族は離れ離れに。ドイツ軍の追撃を受けながら、数日間の列車での逃避行は、二人にとってかけがえのない逢瀬となる。

やがてジャンは妻子と再会し、平穏な日常へと戻るが、ある日突然ドイツ軍に呼び出される。そして迎えるラストシーン――あまりにも唐突で、胸を突かれる展開だ。私にとって、このラストは映画史上最高のラストシーンのひとつだと思う。

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