2025年に観た映画(37) 「ONCE ダブリンの街角で」

日本公開は2007年。ジョン・カーニー監督の名を世に知らしめた作品という事で、こちらのリバイバル上映にも足を運びました。
監督の故郷ダブリンを舞台に、父親の仕事を手伝いながらストリート・ミュージシャンを続ける男が、ひとりの観客との出会いをきっかけに、音楽魂に火が点いちゃうお話。
「はじまりのうた」の原型ともいえる作品。この監督の場合、常に音楽が作品に欠かせない骨格素材として使用されていて、主役のストリート・ミュージシャンを演じるグレン・ハンサードはザ・フレイムズというバンドのボーカルで、ジョン・カーニーはこのバンドでベースを担当していたらしい。そんな彼が身銭を切って監督し公開にこぎつけた本作は米国でヒットし、サントラと共に成功をおさめる事となった。批評家の評判も随分と良かったみたいですが、「シング・ストリート」「はじまりのうた」とその後の作品を新しい順に観た後だと、少々お勉強モードにもなってしまった。作品との邂逅の時期、タイミングの問題、こればかりはどうしようもない。
主役の2人が奏でる曲は、歌詞が台詞と同等の意味を持ち、曲はサウンドトラックとしての役割を超えて映画本体のエンジンとして推進力をもたらしている。私が観た3作品の内、楽曲への依存度は一番高いかもしれない。
主要3作品がいずれも非常に似通った“音楽映画”であることを認識した今、気になるのは次回作。いずれは音楽以外の作品を撮りたいと言っていた監督ですが、最新作「フローラとマックス」も方向転換とはいかなかった模様。劇場公開派の私としては、配信系なのが非常に残念です。
№36
日付:2025/8/3
タイトル:ONCE ダブリンの街角で | ONCE
監督・脚本:John Carney
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1
パンフレット:あり・中古(¥600)
評価:5


- 「フォーリング・スローリー」歌詞
- イントロダクション
- ストーリー
- ダブリンの路上から生まれたロック・バンド、ザ・フレイムス 村尾泰郎(音楽ライター)
- アイルランドの今日とリアリティ 松山晋也(音楽評論家)
- キャスト紹介 マルケタ・イルグロヴァ/グレン・ハンザード
- インタビュー ジョン・カーニー監督
- インタビュー マルケタ・イルグロヴァ × グレン・ハンザード
- ロケーション・マップ
- プロダクション・ノート
- スタッフ・プロフィール
- 各紙レビュー・コメント
- サウンドトラック
