DISCASレビュー

薔薇の名前

　1986年　フランス・イタリア・西ドイツ合作　 劇場公開：1987年12月11日（日本初公開）

スタッフ　監督：ジャン＝ジャック・アノー　製作：ベルント・アイヒンガー　脚本：アンドリュー・

　　　　　バーキン、ジェラール・ブラッシュ、ハワード・フランクリン、アラン・ゴダール　

　　　　　原作：ウンベルト・エーコ　製作総指揮：トーマス・シューリー、ジェイク・エバーツ　

　　　　　撮影：トニーノ・デリ・コリ　美術：ダンテ・フェレッティ　音楽：ジェームズ・ホーナ

　　　　　ー　ナレーター：ドワイト・ワイスト

キャスト　ショーン・コネリー、F・マーレイ・エイブラハム、フェオドール・シャリアピン・Jr、

　　　　　ウィリアム・ヒッキー、マイケル・ロンズデール、ロン・パールマン、クリスチャン・

　　　　　スレイター、エリヤ・バスキン（セヴェリナス）、バレンティナ・バルガス　ほか

宗教裁判が激化する14世紀のヨーロッパ。イギリスの修道士ウィリアムと見習い修道士アドソは、重要な会議に参加するため、北イタリアの修道院にやって来る。到着早々、彼らは修道院で若い修道士が不審な死を遂げたことを知る。院長によると、死んだ修道士は文書館で挿絵師として働いていたという。事件の調査を依頼されたウィリアムたちは真相を求めて奔走するが、さらなる殺人事件が起こり・・・。

 映画は、舞台となる中世修道院での生活や道具、慣習などを忠実に再現するため、衣服から小道具に至るまで詳細に復元を行った。撮影は、三箇所で行われ、一つは、北イタリアの山地に実際に造られた野外セットで、ここには巨大な修道院と文書館の建造物が建てられた。修道院内部の礼拝堂等は、ドイツのヘッセン州エルトヴィレ・アム・ラインにあるエーバーバッハ修道院を改装して利用した。第三に迷宮図書館は、ローマ郊外のチネチッタ撮影所内部に造られたセットであった。ウンベルト・エーコのベストセラー小説の映画化です。原作は上下巻にわたるブ厚い中世絵巻なんですが、映画は七面倒くさい神学論争は描かず、僧院で起きた殺人事件に的を絞った作品となっています。あぶり出し文字、秘密の迷路、謎の図書館、毒薬といったミステリーの趣向と中世イタリアの僧院を再現した壮大なセットが重厚なストーリーと相まって、とても面白い映画ですよ。この映画は1987年度の英国アカデミー賞にて、ショーン・コネリーが最優秀主演男優賞を受賞し、メイクアップ賞も受賞し、1986年フランスのアカデミー賞に相当するセザール賞にて、最優秀外国映画賞を受賞しています。