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Yuji Abe
2025/09/25 19:28

『宝島』- 今、私たちが”自由”であることの重さ。戦後沖縄の痛みと希望を描く衝撃作。

私たちが当たり前のように享受している「自由」。その本当の重さを、戦後沖縄の痛みを通して突きつけてくる映画が『宝島』でした。


敗戦国として、アメリカの統治下で虐げられた人々の物語は、現代に生きる私の心を苦しく締め付けました。しかし、これは同時に、今の時代の平和と自由がいかに尊いものかを教えてくれる、私たち全員が観るべき作品です。

 

あらすじは、第二次世界大戦直後、米軍統治下の沖縄。全てを失った土地で、若者たちは“オン”と呼ばれるカリスマ的なリーダーを希望の光としていた。しかし、彼が忽然と姿を消したことで、残された3人の若者たちの運命は大きく狂い始める。彼らは自由と幸せを求め、それぞれの「宝島」を探し求めるが…。

 

広瀬すずの姿に『怒り』が蘇る、鑑賞中の“痛み”

 

本作で広瀬すずさんの姿を見た時、映画『怒り』を観た方なら、きっと私と同じ気持ちになるのではないでしょうか。
あの衝撃的な役柄が脳裏をよぎり、私は「どうか彼女が酷い目に遭いませんように」と、物語とは別の次元で、終始ハラハラしながら鑑賞していました。この緊張感もまた、本作が持つリアリティの一部なのかもしれません。

 

追い詰められた時、人は“人でなくなる”のか

 

この映画は、哲学的な問いも投げかけます。
極限まで追い詰められた時、人間はいとも簡単に“人間でなくなり”、恐ろしい生き物へと変貌してしまう。戦争が人の心から何を奪っていくのか、その恐ろしさが、本作では痛いほどリアルに表現されていました。

 

なぜ今、戦争をテーマにした映画が増えているのか

 

最近、戦争をテーマにした作品が増えているように感じます。それは、戦争を知らない私たち世代へ、作り手である大人たちが何か必死にメッセージを伝えようとしているからかもしれません。
戦争で失ったものの代償は、本当に大きい。『宝島』は、その事実を改めて私たちの胸に刻みつけます。

 

目をそむけたい、でも、そむけてはいけない物語

 

正直に言います。私のように、普段あまり戦争について考えたくない、辛い現実からは目をそむけていたい、という人にとっては、非常に苦しい作品です。
しかし、だからこそ、私たちはこの映画を観るべきなのだと思います。歴史を理解した上で観れば、より深く楽しめるでしょう。しかし、知識がなくとも、この若者たちの叫びは、きっとあなたの心に何かを残すはずです。

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