映画『僕らの世界が交わるまで』ちぐはぐにすれ違う家族の物語
ソーシャル・ネットワーク』『ゾンビランド』などで知られる個性派俳優ジェシー・アイゼンバーグ。彼自身のオリジナル脚本による初監督作品『僕らの世界が交わるまで』がいよいよ2024年1月19日(金)に公開となります。製作・北米配給は話題作を続々と世に送り出す「A24」。さらにジェシー・アイゼンバーグの盟友であるエマ・ストーンもプロデュースに参加しているとのこと。映画ファンならこれだけでもワクワクしてしまいますよね!
そこで今回、試写にてひと足早く本作を鑑賞した筆者がネタバレなしでその見どころをお届けします。
映画『僕らの世界が交わるまで』あらすじ
DVシェルターを運営する母・エヴリン(ジュリアン・ムーア)とネットのライブ配信で人気の高校生・ジギー(フィン・ウォルフハード)。社会奉仕に身を捧げる母親と自分のフォロワーのことしか頭にない Z 世代の息子は、いまやお互いのことが分かり合えない。しかし彼らの日常にちょっとした変化が訪れる。それは、各々ないものねだりの相手に惹かれ、空回りの迷走を続ける“親子そっくり"の姿だった···。
近いのに遠い?すれ違う家族の人間模様
DV被害者のためのシェルターを運営し、困っている人々を助けることに身を捧げてきた母親と、ネットのライブ配信で2万人のフォロワーを持ちシンガーソングライターとして人気の高校生の息子。家族として同じ屋根の下で生活し寝食を共にする一番身近な存在のはずなのに、2人はお互いのことを分かり合えない。全く違う世界で生きているかのように交わらない。
本作では、そんな “近いのに遠い” ちぐはぐにすれ違う家族の物語が描かれています。
誰にとっても身近で普遍的な家族の物語
そもそも思春期であり反抗期でもある高校生の息子と母親の関係ってムズカシイ。親は子どもの大切にしている世界や興味関心の対象が理解できずに、そんなことよりもっと大切なことがあるでしょう?!という気持ちになるのもわかる。
一方で、SNSでのフォロワー数やいいねの数、自分のパフォーマンスに対するフォロワーの反応が頭の大部分を占めている、いわゆるZ世代の息子にとっては政治や母親の仕事である社会奉仕は自分とは関係ない遠い世界で起きている出来事。母親からの干渉を「ウザイ」としか感じない。
そんなすれ違う親子の物語は、少なからず誰もが体験するような普遍的なものだと言えるのではないでしょうか。そして、誰にとっても身近なテーマであるからこそ、すれ違う中で母と息子がそれぞれ抱く感情や体験はきっと多くの人の胸に刺さるはず。
筆者も思わず自分の体験と重ね合わせながら見てしまうほど共感できる物語でした。
音楽で親子間の世界の隔たりを表現
劇中印象的だったのが音楽の使い方。母親であるエヴリンのシーンでは主にクラシックが、息子ジギーのシーンでは彼がライブ配信で歌う曲を含め日常に沿ったポップでライトな楽曲がそれぞれ使われています。そして、彼らは互いに相手が好んで聴いている音楽を耳障りとすら感じている。
親子の世界の分断をこんな風に音楽によって表現しているところが凄くユニーク!彼らの音=世界が交わることはあるのか···?そこもこの作品の見どころのひとつだと言えます。
衝突ばかり。だけど実は似た者同士?!
衝突ばかりで互いに分かり合えない母と息子。交わらない世界で生きている2人ですが、実は似ているところがたくさんあることに気付かされます。
どちらも「自分の世界」の中では感謝され賞賛され、認められてはいるものの、家族や同僚、友人などの身近でリアルな世界では何の影響力も持たないただの人。そのことに孤独や寂しさを感じ、どうにかして認められたい、感謝されたい、自分を好きになって欲しいと過剰なほどエネルギーを注ぐのです。だけど2人とも空回り。このあたりは観ていて痛々しいと感じる程でしたが、共感できる部分もたくさん。
この彼らの「迷走」がどんな決着を迎えるのか···そして、個人的には存在感の薄い父親の立ち位置も気になるところ。メインキャラクターではない父親に注目し、想像を膨らませてみるのも面白そうです。
魅力的でフレッシュなキャスト陣
母親のエヴリンを演じたのは、アカデミー賞、エミー賞の受賞経験を持つジュリアン・ムーア。DVシェルターを運営する一方で、援助者としてではなく人と関わるのが苦手で不器用な変わり者を人間味たっぷりに演じています。
そして、息子のジギーを演じたフィン・ウォルフハード。Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のマイク役でお馴染みの彼のお芝居を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。今回は等身大の若者の姿をフレッシュに好演。さらに、劇中で歌う楽曲の多くは彼自身が手掛けた自作曲とのこと。バンド活動も行う彼の歌声を堪能できるシーンもたくさんあり、ファンにとっても嬉しい限りです。
また、筆者の大好きなNetflixドラマ『13の理由』で注目されたアリーシャ・ボーが、ジギーが恋焦がれる聡明な女子高生を演じているのも注目です。
親子の違いやジェネレーションギャップ、一番身近な存在である家族との衝突、現実の自分と理想とのギャップ···などなど、誰もが一度は感じたことのあるような身近で普遍的な物語。すれ違う母と息子の世界は果たして交わるのか···?
ジェシー・アイゼンバーグ初監督作品『僕らの世界が交わるまで』は2024年1月19日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開です。是非劇場でご覧下さい!
最後までお読みいただきありがとうございました。これからも様々な新作映画やオススメ映画の見どころをお届けしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!
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投稿を表示あんまりA24っぽくないなぁと思っていましたが、親子の世界観を音楽で表現していると知って、そこが面白そうって感じました!衝突ばかりしてるのはお互い似た者同士だったりだからなんですよね~。本人たちは気づいてないんだろうなぁ。存在感の薄いお父さんがすごく気になります 笑
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投稿を表示たかえさんこんにちは😌。今自分が母と2人暮らしなんで まさにこの作品凄くハマりそう😅近くにいるのに遠くにいるような2人の距離感か...この作品見たら 明日の自分が少しは変わるのかしら😅 近くでやってる劇場があるか探してみますね👍
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