オードリー・ヘップバーンのモンテカルロへ行こう
【『ローマの休日』は本作の2年後】
(1951年・仏・102分・モノクロ)
監督:ジャン・ボワイエ
製作:レイ・ヴァンチュラ
タイトルにわざわざ「オードリー・ヘプバーンの…」と入ってはいますが、オードリーの出番は少ないです。でも、2年後には『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞を獲得するのですから、開花目前のオードリーを確認するのも眼福というものです。
一人の男の赤ちゃんが手違いでマックス(マックス・エロイ)の元に預けられます。マックスは楽団のメンバーで、モンテカルロのジャズ祭で演奏するための旅行に出掛ける寸前でした。赤ちゃんはマックスの娘の子ども(つまり彼の孫)だと言われたのですが。
急なことで他に預ける余裕もなく、連れて行くことにしたのですが、マックスが変な小細工をした為に、何とも微笑ましいドタバタ劇が始まることになってしまいます。
マックスの所属する楽団というのがレイ・ヴァンチュラの楽団で、ヴァンチュラ本人がバンドリーダー役で出演しています。ミュージカルともちょっと違うのですが、彼の楽団が奏でる音楽や歌がストーリーの合間合間に堪能できて楽しいです。ヴァンチュラ本人のピアノ演奏と歌唱も聞けて、彼の甘い歌声も素敵でした。
オードリーが本作に出演することを決めた理由というのが3つあるそうです。
それは、出演料が高く、クリスチャン・ディオールのドレスを着ることが出来ること。そして、モンテカルロで1か月間過ごせること。
私が意外に思ったのは、本作で既にオードリーの髪がショートカットだったことでした。それに劇中の舞台の衣装から私服に着替えた時がまるで…というか、もう「ローマの休日」そのものに見えました。
オードリーが本作で最初に登場するシーンは、19世紀を舞台にしたクリノリン・スタイル(ドレスのスカート部分が大きく膨らんでいる)のドレスを着て、金髪のカツラを被っていました。(正直に言って、彼女に金髪は似合わない)そのドレスを脱いでコルセット姿になった時やガウン姿になった時の彼女のウェストがとても細くて、オードリーにはそんな華奢な姿が似合っていると再確認しました。
本作『モンテカルロへ行こう』はフランス語ですが、『モンテカルロ・ベイビー』という英語バージョンがあるそうです。キャストはフランス語版と英語版では違っていますが、オードリーは英語もフランス語も出来たので、両方でキャスティングされたようです。
冒頭から登場する赤ちゃんがとても可愛いのと、楽団の皆がこの赤ちゃんに夢中になっている姿がほのぼのして観ていて楽しかったです。この赤ちゃんは将来何になるべきか?と楽団員がアレコレと提案して歌うシーンがあります。どうぞお楽しみください。