世界一有名な密室の世界へ【5つのネタバレ考察】
こんにちは!
そぜシネマです。
自分の人生を変えた【映画】と【ワイン】の魅力を
かけ合わせで紹介します。

製作年: 2024年
製作国: アメリカ/イギリス
上映時間: 120分
監督: エドワード・ベルガー
キャスト: レイフ・ファインズ
スタンリー・トゥイッチ
ジョン・リスゴー
配給: キノフィルムズ
原作: ロバート・ハリス「CONCLAVE」
あらすじ
全世界に14億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派、カトリック教会。
その最高指導者にしてバチカン市国の元首であるローマ教皇が、死去した。
ローレンス枢機卿は新教皇を決める教皇選挙“コンクラーベ”を執り仕切ることに。
世界各国から100人を超える枢機卿が集まり、総本山システィーナ礼拝堂の密室で決まるまで決して外に出られない教皇選挙が始まる。
派閥ごとに絞られた有力候補の票が割れる中、水面下で勃発する陰謀、差別、ロビー活動、スキャンダル自爆テロが次々と起こりローレンスの苦悩は深まっていく。
そして禁断の教皇部屋に侵入しそこで彼が見つけたものは、そして最終的に選出された新教皇は誰なのか。
有力候補枢機卿相関図(観る前にここだけおさえよう)

5つの考察解説
これはすさまじい映画。
最初にお伝えしますが
私は大興奮レベルの作品に出会えたと思っています。
初回は飛行機内で観て声を上げて驚きました。
シートベルト着用のサインが点灯している中、
一人スタンディングオベーションを捧げ、
3月中にかれこれ4回観ました。
現時点での五つ星⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
2025年No.1です。
これから本作がなぜ心を打たれたかを考察解説します。
1.『コンクラーベ』という枢機卿以外は知り得ない内部事情を暴露するテーマ性
全世界で一番多数の宗教キリスト教
その最高峰教皇を決める一大イベントコンクラーベ。
その儀式は密室で行われて、多数決の投票制で決まる。
勿論誰も中は見れず結果は煙突から白い煙が出れば選出決定、黒い煙なら未決となる。
その陰謀論者や宗教家ならずとも興味が湧いてしまう儀式を
なんと内から描く、と言うとんでもない内容。
もうこの段階で本作鑑賞意欲へのつかみはOKですね。
勿論内容は実際のものとは異なりますが、
限りなく忠実に作られていて
有効得票数(投票総数の2/3以上)を得る人物が
出るまでの生々しいロビー活動が見物です。

2.神聖なる枢機卿の俗物的な日常
本作の舞台は世界中のカトリックの最高権威が
一同に集まる聖地であり、彼らはいわば”神々の使い”。
それが実際はスーツケースをもって旅行者ばりに登場し、
いたるところでタバコやワインを嗜む。
そして汚職政治家ばりの生生しいロビー活動で
相手を陥れたり自分への得票を買収したり。
聖職者だって普通の人間で野心があり、弱みがあり、
過ちも犯す。そんな真実を俗物的に描くことで、
あえて新教皇にふさわしい人物は誰なのか
をあぶりだす演出にもなっている。
結果として選ばれた新教皇は、
外部の誘惑や権力にも屈せず、信仰を貫き、
純粋に使命を果たし続けてきた人物だった。
混迷を極める選挙の中でもひときわ華麗で
納得のいく選出だったと感じさせたのはお見事。





3.神は実在する事を示すいくつかの現象
作品の中でいくつか人知を超越したシーンがあった。
1)ローレンスが投票する直前に起こった壁の崩壊。
タイミングが良すぎで誰もが「その投票は本心ではない」
と警告したかのようなシーン。
その後の投票で再び彼は崩壊した壁と
ミケランジェロの“最後の審判”を見て、
心を決めて投票している(結果、その回で教皇は選出された)
2)教皇部屋である文書を見つけた手がかりとなるもの。
あれは教皇が“神の手”でローレンスに
見つけさせるように仕向けたのだろうか。
個人的に「インターステラー」の時計と本棚のシーンと
重ねてしまった。あの時確かに部屋に教皇はいたのだろう
3)二回登場する亀。
いずれもローレンスとある人物との会話の後に登場する。
特に二回目は亀が聖堂内に入り込んでいて
ローレンスが池に戻す。
その後の彼の表情はどこか吹っ切れているかの様な
清々しさの印象を受けた。
また亀はその頭と甲羅から男性と女性の特徴を併せ持つ
とされるそう。これは何を啓示しているのか。
最後まで観た者のみぞ知る。

4.世界で一番男尊女卑が激しい職域でのシスターの告発と今後の変化を予感させる結末
教皇は勿論、枢機卿は現時点では全員が【男性】で
女性は修道女として仕えるのみ。
つまり現在最も男女平等がなされていない超保守的な職域
と言える。但し、教皇選中有力候補が脱落するいくつかのターニングポイントがあるが、
それはいずれも修道女からの意思にて引き起こされている。
またもう一人の【女性】が重要な役目を果たす。
これらの結末は現在の伝統的な体制の終わりを表している。
コンクラーベが終わった際に3人の修練女が解放感溢れて出てくるシーンが
これからの体勢の変化を予感させる。

5.振り返ると全てを物語っていた序盤のチェスシーン。全ては教皇の想いのままに。
教皇は亡くなる前に
『次の教皇は誰になるか』を知り得ていたのでは。
その伏線となるのが序盤に教皇のチェス相手だった
ベリーニが「毎回負かされる。教皇は常に8手先を読む」
という発言。
実はこの教皇選挙は全てチェス盤の上にあり、
教皇の意のままに動いていたともとれる。
ベニテスの辞任を拒んだこと、
ローレンスが部屋に入り込んできたこと等々。
全ては教皇の想いのままに。

いかがだったでしょうか。
今回アカデミー賞も脚色賞を受賞(オリジナル原作がある中での演出度が極めて高い作品に贈られる賞)。個人的にはもっと獲ってもおかしくないレベルでしたが、個人的には大満足の映画でした。
音響が本当に素晴らしいので是非映画館で観てきてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました💁🏻♂️

ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示まだ観れていないので、「観る前にここだけおさえよう」だけ熟読しておきます(笑)