cine-ma
2025/07/15 21:54
2025年に観た映画(30) 「年少日記」

高校時代一番仲が良かったクラスメイトと話をしていて、彼が親にぶたれた事がないと聞いて激しく驚いた覚えがあります。生まれてこの方、ただの一度も親に叩かれないで高校生に?世の中にそんな家庭が存在するなんて思ってもみなかった。俺ん家はというと、母親から時に靴ベラで殴打され、その母親も父から暴力を振るわれる日がありました。結構容赦なく打ち据えられた、あの頃を思い出しました。
高校教師チェンが務める学校で、受験を控えた大事な時期に勃発したある問題。過去と現在を行き来しながら、ニック・チェク監督は観客に意外なトラップを仕掛けてくる。
親の期待に応えられない、心優しきチェン・ヤウギッへの仕打ちの数々。出来の良い弟を持った兄の悲哀。エリート一家の中で居場所を失う彼の行く末を巧みにミスリードすることで、淡々としていて少々見所に欠ける教師と生徒、夫と妻のドラマに予想外の鮮度が加わる。幼少期のトラウマを再燃させながら、教師として、夫として、チェンが徐々に取り戻す人間味を、観客も優しく見守る。
親に許された、体罰という名の感情的な暴力。あの頃の身の竦む思いはいろんな形で私の人格形成に一役買っている筈。今ではそれを笑って話せるのだから、人生早まったらアカン。
星飛雄馬に野球の才能がなかったら、一徹はどうしたのだろう。観終わって、そんなことまで考えてしまうのでした。
№30
日付:2025/7/12
タイトル:年少日記 | 年少日記 TIME STILL TURNS THE PAGES
監督・脚本:卓亦謙
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン2
パンフレット:あり(¥800)
評価:6





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