豪華キャストによる日本の偉人版爆笑!スターものまね王座決定戦
■もしも徳川家康が総理大臣になったら
〈作品データ〉
眞邊明人原作の小説「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を『テルマエ・ロマエ』シリーズや『翔んで埼玉』シリーズを手掛けた武内英樹監督が映画化したSFコメディ映画。2020年に新型コロナウイルス感染症が蔓延し、官邸でのクラスター発生で現職の総理大臣か亡くなってしまう。そこで政府は極秘裏に開発していたAI・ホログラムシステムを使って歴史上の偉人を召喚し、徳川家康を総理大臣にし、坂本龍馬、豊臣秀吉、織田信長らと新内閣を組織することに。徳川家康役を野村萬斎、豊臣秀吉役を竹中直人、織田信長役をGACKTが演じ、他浜辺美波、赤楚衛二、高嶋政宏、江口のりこ、池田鉄洋、小手伸也、長井短、観月ありさ、音尾琢真、山本耕史、梶原善、足立英、小籔千豊、酒向芳が出演。
・7月26日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
・上映時間:110分
・配給:東宝
【スタッフ】
監督:武内英樹/脚本:德永友一
【キャスト】
野村萬斎、竹中直人、GACKT、浜辺美波、赤楚衛二、高嶋政宏、江口のりこ、池田鉄洋、小手伸也、長井短、観月ありさ、音尾琢真、山本耕史、梶原善、足立英、小籔千豊、酒向芳
公式HP:https://moshi-toku.toho.co.jp/
〈『もしも徳川家康が総理大臣になったら』レビュー(レビュアー:じょ~い小川)〉
予告編から偉人たちを使ったコメディ映画であることが手にとって分かる『テルマエ・ロマエ』シリーズや『翔んで埼玉』シリーズを手掛けた武内英樹監督作品『もしも徳川家康が総理大臣になったら』。ほぼほぼ予想通りの偉人たちワチャワチャさせた「もしも〜」なSFで、後半のサスペンス的な流れもほぼ「こんな感じかな」といった手応えで、全体的に無難な出来に収まっている。
それでも前半は各偉人のキャラをふんだんに活かした言動と現代ニッポンのワイドショーやバラエティ番組のノリが上手くマッチし、往年の「爆笑!スターものまね王座決定戦」をも彷彿させる。そこは『テルマエ・ロマエ』シリーズや『翔んで埼玉』シリーズを手掛けた武内英樹監督らしいコメディ作品に仕上がっている。織田信長や豊臣秀吉、坂本龍馬ら偉人たちも現代の生活環境やマスコミらにも全く抵抗なく馴染み、スムーズに展開。いくらなんでも偉人たちの現代への適応力が凄すぎるが、そこを突っ込んだらキリがないので、黙って受け入れて見る以外ない。
後半はある一人の偉人の野心から徐々に偉人内閣が崩れていき、収束していくが、この暴走する偉人も「まぁ、この人かな」と予想しやすい。少しは偉人内閣以外の野党の反応もあるにはあるが、上手くまとめ上げるために最小限に留めている。
キャスティングも武内英樹監督らしくお見事。大河ドラマで豊臣秀吉役の経験がある竹中直人をはじめ、野村萬斎の徳川家康も『翔んで埼玉』シリーズの麻実麗役のGACKTの織田信長もぴったりだし、赤楚衛二による坂本龍馬もそれっぽい。唯一、聖徳太子の立ち位置がそれで正解なのか疑問が残るし、悪政と言われた德永綱吉を呼ぶぐらいならそれこそ水戸黄門や大岡越前を呼んだ方がいいんじゃないかとも思うが、権利の問題とかで無理だったのかな。それに徳川吉宗ならやはり松平健にやってほしかったが、これまた大人の事情で無理だったのであろう。
それでもこの偉人内閣による騒動というかドラマを見せることで、現代の政府というか政治家にはないカリスマ性を見せたことで今の日本の政治・政府に足りないものを見せられた気もする。が、現実なら前半の政策を出した時点で野党や世論の反応とか半端ないだろうし、正直、かなりのご都合主義な展開に思えてならない。
そこを疑問も持たずに素直に受け入れて見るのであれば往年の「爆笑!スターものまね王座決定戦」ぐらいは楽しめはする。