DISCASレビュー

カッツ
2025/10/20 08:37

わらの犬(1971)(2011)

わらの犬には、1971年製作のサム・ペキンパー版と、2011年製作のロッド・ルーリー監督版の二つがある。一般的に評価が高いのは前者だが、私は2011年版も十分に見応えがあると思う。
物語は、都会に住むインテリのデヴィッドが、美しい妻エイミーとともに、彼女の故郷であるミシシッピの田舎町へ静寂を求めて移住するところから始まる。だが、裕福な彼らは地元の男たち――エイミーの元恋人チャーリーをはじめとする粗野な人々――から執拗にからかわれ、次第にいじめや暴力の対象となっていく。そしてついには、エイミーがチャーリーの仲間に襲われるという衝撃的な展開を迎える。
1971年版が暴力そのものを主題としているのに対し、2011年版ではアメリカ南部の田舎に潜む排他的で粗暴な白人像がリアルに描かれている。こうした人物像は、現代の政治的背景とも重なる。ドナルドトランプを熱狂的に支持する¥白人層を思い出す。フィクションでありながら、社会の断面を鋭く映し出している点に、強い印象を受けた。
 

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