コングの復讐
コングの復讐
1933年 アメリカ
スタッフ 監督:アーネスト・B・シュードサック 脚本:ルース・ローズ 製作:メリアン・C・ク
ーパー、アーネスト・B・シュードサック 製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
キャスト ロバート・アームストロング、ヘレン・マック、フランク・レイカー、エド・ブラディー、
ジョン・マーストン、ヴィクター・ウォン、Lex Kohlmar ほか
南海の涯、骸骨島から苦心の結果捕え来ったキング・コング(1933)が、散々ニューヨーク市中を暴れ廻った末に、摩天楼上から墜落、非業の最後を遂げたので、一番困ったのはこの破天荒の見世物で一儲けしようと企んだ冒険家のカール・デンハムである。見事アテが外れたばかりか、コングが破壊した建物、鉄道、踏み潰された人達の遺族から、種々な告訴をされて進退谷まったので、骸骨島以来の仲間エングルホーン船長と東洋の或る港まで逃げのびて来た時、偶然の機会からデンハムは父親をヘルストロム船長に殺されたサーカスの歌手ヒルダと親しくなった。このヘルストロム船長というのは、嘗つてデンハムに骸骨島の地図を呉れた男で、ここで運命の皮肉というか、デンハム一行と再びめぐり遇った。そして今度は骸骨島には太古の住民達が秘した財宝が沢山あることを物語った。そこでデンハムとエングルホーンとヘルストロムは骸骨島に今度は宝物を掘り出しに再び出かけることになった。ヘレンはデンハムの好意で船中に潜んで同行した。着くと彼等は例の巨獣怪鳥の棲む、コングの故郷へとボートを寄せて上陸した。

本作は1933年3月に公開した『キングコング』の大ヒットを受け制作が決定した作品だが、引き続いて脚本を担当したルース・ローズは本作には乗り気ではなく脚本にも力を入れなかった。当初の脚本では髑髏島沈没の前に原住民との闘争が用意されていたが、前作を下回る予算と短期間の撮影スケジュールのため没となった。本作に登場するリトルコングは制作段階では「キコ」の通称で呼ばれていた。アップのシーンで登場するリトルコングの腕は、前作で使用されたキングコングの腕を体毛を張り替えたものが使用されている。特殊効果も前作と同じくウィリス・オブライエンが担当したが、彼は様々な事情が重なって途中で降板している。予算も製作期間も大幅に削られてはいるが、特撮シーンの出来は決して悪くはない。スティラコサウルスや熊など、前回とは異なった生物が出てきてコングとの戦いを見せてくれる。物語がドクロ島だけで終わってしまうために前作のような都市破壊シーンはなく、その代わりに(?)終盤では島を大地震が襲う。とってつけたようなラストだが、ここだけではなく全体的に脈絡のない展開が続く作品である。脚本も時間がなかったんでしょうね。