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DISCASレビュー

じょ〜い小川
2024/08/06 23:16

【蔵出しレビュー】ミステリー、学園青春、SFなど複数のジャンルをメガ盛りにしたしんのすけVS風間くん『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』

※8月9日から公開の『クレヨンしんちゃん』劇場版・第31弾『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』にあわせて、『クレヨンしんちゃん』劇場版の過去作品のレビューをUPしました。尚、文章は公開当時のものを一部加筆・訂正したものです。

 

■映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園

(c)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK2021

《作品データ》

映画クレヨンしんちゃんシリーズの29作目。春日部市にある超名門小中一巻全寮制学園に体験入学することになったしんのすけをはじめとする春日部防衛隊の面々。AI”おつむん”が生徒にエリートポイントを付けて管理し、クラス分けしているその学園では、旧時計台に生徒のお尻に噛みついて被害者をおバカにしてしまう”吸ケツ鬼”の存在が噂されていた。そして1週間の体験入学中、風間くんがお尻をかまれておバカになってしまったことをきっかけに、春日部防衛隊と生徒会長の阿月チシオは吸ケツ鬼の真相を探り始めるが……。

・TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー中!

・配給:東宝

・公式HP:https://shinchan-movie.com/


《『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』レビュー》

新型コロナウイルスの影響で元々2021年4月公開のゴールデンウィーク映画になるはずが約3カ月遅れで夏公開になった映画クレヨンしんちゃん最新作の『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』。個人的には原作のコミックスはそこそこ読んでて劇場版はスルーしていたが、何の気無しに見てみたら「クレヨンしんちゃん」特有のギャグはもちろん、

ミステリー、学園青春、SFなど複数のジャンルをメガ盛りし、そのどれもがハイクオリティだった!!

(c)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK2021

「幼稚園児のしんのすけ達がなぜ学園ミステリー?」というそもそもの設定も「風間くん発案の天カス学園への1週間体験入学」、「申し込みは5人組」、「小中一貫教育」という設定でさらりとクリアし、『クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜』以来のかすかべ防衛隊メインで『クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』以来となるしんのすけを除いた野原一家が本編に一切関わっていない作品になってる。

 

全校生徒ポイント制で、オツムンというAI監視ロボットにより監視される辺りはアイザック・アシモフのような古典SFの香りが全体的にする。そのポイントの高低でエリートばかりの「天組」と落ちこぼれと不良の溜まり場と化している「カス組」と極端にわかれ、これを給食にも影響させ、そこにテレ朝繋がりでテレビバラエティ「芸能人格付けチェック」のランク待遇のように描いている。

 

壊れた時計塔に現れる吸ケツ鬼のミステリーもかなりしっかりしている。教師・生徒7人の容疑者はいずれも曲者で、風間くんが倒れていた現場にあったメッセージ「33」も非常に手が込んでいる。このミステリーに合わせて教師、「天組」、「カス組」の主なキャラ7人とかすかべ防衛隊5人の掛け合わせによる青春学園群像劇にもなっている。嫌味な学園長に美人教師、エリートにナンバー2のギャル、生徒会長に不良番長に野生少女と見事なキャラ達&群像模様。

(c)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK2021

こうした展開の一番の根幹にあるテーマは「エリート」で、エリートになりたい風間くんとエリートなんかどうでもいいしんのすけの対立構造にもなっている。ある意味「しんのすけVS風間くん」で、前半と終盤に壮絶なバトルを繰り広げている。

(c)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK2021

さらに、この映画のキーアイテムになるのがポスターやフライヤーでしんのすけが手にしている焼きそばパン。これを青春の象徴としながら、上手い具合いにエピソードを転がしてる。

 

終わってみれば複数ジャンルメガ盛りのエンターテインメント大作に仕上がり、かつての映画クレヨンしんちゃんの名作『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』と『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』に勝るとも劣らない。「クレヨンしんちゃん」の原作かアニメのいずれかに触れたことがある人なら絶対に見てほしい!

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1 件の返信 (新着順)
U子
2024/08/07 19:08

コレ、じょ〜いさんが観てるのウケるw🤣🤣🤣


じょ〜い小川
2024/08/07 19:23

意外かもしれませんが、自分が高校の頃の連載黎明期から「漫画アクション」を毎週買って読んでて、単行本も30巻ぐらいは持ってます。
ただ、劇場版は原作パート(単行本のみ掲載)で読むだけで、劇場で見るのもこの時久しぶりでしたね。
シリーズ全体的には前作の3Dや前々作の忍者のやつみたいに今ひとつなのもあり、当たり外れの差はありますね。