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2025/07/11 19:25

終末の5分で意外などんでん返しが!

まさかこんな結末が待っていようとは...騙されました、完全に騙されました。

 

「生きていた男」(1958年・イギリス映画、84分)

                   監督:マイケル・アンダーソン

ダイヤモンド採掘・加工会社の富豪社長が自殺し、娘のキム・プレスコット(アン・バクスター)が父所有のスペインの別荘にやって来た。彼女には兄がいるが、自動車事故で既に死亡し、近親者は叔父のブリッドソン(アルバート・ノックス)だけだった。ある夜、一人住まいのキムの別荘に一人の男(リチャード・トッド)が現れ、 ‘自分は兄のウォードだ’  と言った。不審者に帰るよう促すキムだったが、従わないので警察に通報、バルガス署長(ハーバート・ロム)がやって来る。バルガスが男の運転免許証やパスポートを確認すると、確かにウォード・プレスコットと記されている。キムが  ‘兄は事故で死んだ。遺体安置所で顔も確認している’  と主張するが、男は人違いだと反論する。更にキムは、自室に飾っている兄の写真をメイドに持ってこさせるが、なんとその写真も目の前にいる男の顔だった。手首にある筈の「錨の刺青」を確かめても、ちゃんとその男の手首にあった。バルガス署長はこれだけの確証を得て、自分がからかわれていると思い、不機嫌に帰っていった。混乱したキムが自室に閉じこもった翌朝、ホイットマン(フェイス・ブルック)という見知らぬ女が朝食を運んできた。例の男はそれまでいたメイドをクビにし、ホイットマンとカルロス(アラン・ティルヴァーン)という下男を雇っていた。キムは再度警察に訴えるが、自分の精神状態を疑われる。そんな折、叔父がキムのもとを訪れる...。

 

冒頭からいきなり腑に落ちない出来事の連続で、 ‘えっ?、なぜなのか’、 ‘そんなばかな...’ 戸惑うシーンが続き、観客は主人公の女性キムの心情に入り込んでいきます。

警察当局にも見放され、唯一頼れる存在は、親切な叔父ただ一人。ところが思わぬ展開に...。

上映84分間の大半が、疑問符「?」マークで積み上げられ、消化不良のまま最後の5分間で、一気にすべてが明らかになる展開、これには騙されました。いや、参りましたホントに。
同年代に作られた、ビリー・ワイルダー監督の「情婦」(57年)とか、ヒッチコック監督の「サイコ」(60年)とはまったく趣を異にした  ‘どんでん返し’  の傑作です。

 


主演のアン・バクスターは本作35歳の出演で、すでに「剃刀の刃」(46年)でアカデミー助演女優賞を受賞しており、「イヴの総て」(50年)ではベティ・デイヴィスと共に同・主演女優賞にノミネートされるなど、実力十分の女優。


 

対する英国俳優リチャード・トッドは、「舞台恐怖症」(50年)でのマレーネ・ディートリッヒの愛人役、「あの日あのとき」(55年)の英軍中佐役などが印象深い。

本作では ‘謎の男’ を巧みに演じています。

監督はマイケル・アンダーソン
「八十日間世界一周」(56年)、「さらばベルリンの灯」(66年)、「オルカ」(77年)などを手掛けたイギリス人監督です。

 

「The End」が出て映画が終わると、プロデューサーのダグラス・フェアバンクス・Jrが登場し、スペインのことわざを紹介します。 

‘秘密を守る者は友を持つ’ 、続けて、 ‘この映画の結末は誰にも言わないで下さい’

 

主要登場人物は5名~6名なので、ストーリーの流れが複雑化することはなく、それぞれの人物の立ち位置が明確に理解できる状況で進んでいきます。

その状態でのラストの展開、言い換えれば、観客は登場人物全員に騙される...というところでしょうか。
どうか、結末を見破れる自信のある方は、果敢にチャレンジしていただきたいと思います。

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