ミクロの決死圏
ミクロの決死圏
1966年 アメリカ 劇場公開:1966年9月23日
スタッフ 監督:リチャード・フライシャー 脚本:ハリー・クライナー 製作:ソウル・デビッド
原案:オットー・クレメント、ジェイ・ルイス・ビクスビー
キャスト スティーヴン・ボイド、ラクエル・ウェルチ、エドモンド・オブライエン、ドナルド・プレ
ザンス、アーサー・オコンネル、ウィリアム・レッドフィールド、アーサー・ケネディ、
ジーン・デル・ヴァル ほか
チェコの科学者ヤン・ベネス博士が、あらゆる物体を細菌大に縮小し、長時間体内に浮遊させる研究を完成させた。彼はアメリカに亡命してきたが、到着して間もなく敵のスパイに襲われ脳出血で倒れてしまう。アメリカの研究は博士と比較し初歩段階までにしか及んでなく、体内での滞在は1時間が限界だった。長時間の体内潜行を成功させた博士の研究成果を手に入れるには、彼の脳内へ到達し脳出血を治療する方法しかない。その治療のため潜行艇に医師と科学者を乗せミクロまで縮小し、博士の頚動脈への注射を入り口として脳内出血部に到達させ、レーザー治療をするという方法が採択された。脳外科医デュバル(アーサー・ケネデイ)、その助手コーラ(ラクェル・ウェルチ)、循環器の専門医マイケルス(ドナルド・プリーゼンス)、海軍大佐オーウェンス(ウィリアム・レッドフィールド)、それに特別情報部員グラント(スティーブン・ボイド) の5人を乗せた潜行艇プロテウス号は、博士の体内に潜入してゆく。

将来の医療・科学の進歩を予想して当時研究されていた技術やアイデアを作品内に取り入れており、例えばレーザーによる縫合など、映画に登場したものとは方向性が大きく違うにせよ、後年に実現、発展した例も見受けられる。また、言うまでも無い事だが、「軍事作戦」としての「Operation(作戦)」と、「外科手術」としての「Operation(手術)」を掛けてあり、オペレーション・ルームから、軍医たちによるモニターのもと、この「作戦(手術)」は進行される。また、潜航艇の、「縮小手続き」の丁寧な描写に、西洋近代科学技術のもつ「スケール感(観)」が、象徴的に言及されており、この映画の「科学教育効果」にも大変高いものがある。本作は人体内部の造形や、その中を潜航艇で航行する特撮で、特殊潜航艇プロテウス号のデザインは、ハーパー・ゴフが担当している。