映画『ボストン1947』作品の見どころ / カン・ジェギュ監督インタビュー
みなさんこんにちは。takaeです🍿
今回ご紹介するのは、全世界が熱狂し、韓国映画の歴史を変えたとも言われる『シュリ』そして『ブラザーフッド』のカン・ジェギュ監督8年ぶりの新作『ボストン1947』。
8/30(金)公開の本作をひと足早く試写にて鑑賞した筆者がネタバレなしでその見どころをお届けします。
さらに今回、プロモーションのため来日していた監督に直接インタビューさせていただくという貴重な機会をいただき...!その内容も合わせてご紹介したいと思います。
実話に基づく物語
皆さんは、1936年ベルリンオリンピックのマラソン競技で日本が金メダルと銅メダルを獲得したことを知っていますか?
金メダルを獲得し、世界記録を樹立したのはソン・ギジョン、そして銅メダルのナム・スンニョン。1936年当時、韓国は日本の統治下にあり、彼らは日本代表としてオリンピックに出場し、日の丸を胸に表彰台に立ちました。
複雑な思いを抱え表彰台に立った時、思わず胸の日の丸を隠してしまったソン・ギジョン。そのことで彼は責任を問われ、マラソンからの引退を強いられます。
その後、第二次世界大戦の終結と共に韓国は日本から解放されましたが、メダルの記録は日本のまま。そんな、彼らのベルリンで止まってしまった時間を動かしたのが本作のテーマになっている1947年のボストンマラソン。
これは、第二次世界大戦後の祖国解放から朝鮮戦争までの時代に起きた実話に基づく物語。たくさんの想いを胸に、ひたむきに走り続けた彼らの真実の物語です。
若きランナーに託した想い
ベルリンオリンピックで自分達が成し得なかったこと。『太極マーク(韓国旗)』を胸に走り、“祖国の記録”を取り戻したい。
その思いに突き動かされ、ソン・ギジョンはナム・スンニョンとともに選手たちを育て、若きランナーソ・ユンボクをボストンマラソンに出場させるべく彼に全ての想いを託します。
ただ、実力と才能だけで出場できるという訳ではありません。ここでもまた当時の韓国が置かれた立場が影響し、彼らは大きな困難に直面します。
立ちはだかる大きな壁
当時は『解放政局』と呼ばれる激動の時代。日本からの解放直後に38度線を境に北側にはソ連、南側には米軍が入り、ボストンマラソンが開催された1947年当時、韓国は米国の統治下にありました。
そのため韓国は“難民国”に分類され、アメリカに入国し、ボストンマラソンに出場するためには巨額の補償金が必要とされ、現地の保証人まで立てなければならない難しい状況。
さらには、やっとのことで出場が決まり、意気揚々とボストンに向かった彼らの前に何としても越えなければならない大きな壁が待ち受けていました。ひとつ困難を乗り越えるとまた次の困難が立ちふさがる。彼らは数々の困難をどう乗り越えるのか...そこもまた本作の見どころのひとつだと言えます。
圧巻のラスト15分
困難を乗り越えるとまた次の壁が目の前に立ちはだかる。もうダメだと諦めそうになりながらも彼らは何度でも立ち上がり前を向いて走り続ける。
最大の見どころはラスト15分のマラソンシーン。とにかくひたむきに、前へ前へ。
折れそうになる心を奮い立たせてひたすらにゴールを目指し走る姿はこんなにも観る者の胸を打つ。
戦争や国家の分断による人々の悲しみや苦しみ。それら全てを未来への夢や希望に変えるような力を持つ圧巻の15分。とにかく胸が沸き立ち熱くなって涙が溢れて止まりませんでした。
人が走る姿はこれ程までに美しく感動するものだと改めて感じた素晴らしいシーンは必見です。
3人のお芝居とコンビネーション
今回、マラソンがテーマということもあり、ユ・ソンボク選手を演じたイム・シワンとナム・スンニョンを演じたペ・ソンウの2人は走るシーンがとにかく多い!まるで本物のマラソンランナーのような力強い走りは本当に圧巻でした。
特にラスト15分、本物の大会を観ているような気持ちでスクリーンに釘付けになったのは、イム・シワンのマラソン選手としてのリアルな肉体や走り、彼の持つ純粋で真っ直ぐな強さによるものに他ならないと思います。また、走るシーンはほとんどないものの、ソン・ギョンを演じたハ・ジョンウの安定感のあるお芝居も素晴らしかったです。
さらにこの3人の絶妙な掛け合いとコンビネーションが最高で、感動するだけでなく笑えるシーンもたくさん!当時の歴史的背景が絡むなど難しそうなイメージがあるかもしれませんが、本当に肩肘張らずに楽しめて純粋に感動できる作品になっています。
カン・ジェギュ監督インタビュー
ここからは、プロモーションのために来日したカン・ジェギュ監督へのインタビューをお届けします。(取材:takae・IKA /文:IKA )
IKA:本作で俳優さんが「走る」演技がリアルで印象的だったのですが、本作で最もこだわった、また思い入れのあるシーンを教えていただけますでしょうか。
カン監督:やはりマラソンの映画ですから、この作品をスタートする段階からこの映画はマラソンのシーンがちゃんと成功するか否かによって作品自体の成功も左右されるであろうという風に思っていました。
そのため、役者さんにも本当のマラソンランナーに見えるように演技指導は行っていました。役者さんたちも、「走る」シーンの重要性に関してしっかりと理解してくれていました。そのような想いもあり、本作の最後に出てくるボストンマラソン大会での約20分近くのマラソンシーンはやはり、自分自身が一番力を入れて撮影したシーンです。
takae:覚えている限り、私が初めて観た韓国映画が『シュリ』でした。『ブラザーフッド』も本当に大好きな作品なのですが、本作の『ボストン1947』も含め、戦争や国家の分断によって引き裂かれた人々の悲しみや怒り、それでも懸命に強く生きていこうとする人たちのドラマが本当に丁寧に描かれているところが共通しているように感じました。こういったテーマに対して何か監督ご自身の特別な思いなどがあればお聞かせいただければと思います。
カン監督:特に意図してきたわけではないですが、国家という概念と個人という概念や、時代と個人の関係性については昔から関心がありました。個人がある信念や意志を持っていても、生きている時代や属している国家によって、個人の信念や意思が通せないような条件になったり、国家と相反する部分が出てきてしまいます。このような特別な時代、特別な国家の中で生きる個人という関係性に、やはり自分は興味があるのかなと思います。
takae:ありがとうございます。
本作を観させていただきすごく感動したと同時に、ソン・ギジョン役のハ・ジョンウさん、ソ・ユンボク役のイム・シワンさん、ナム・スンニョン役のペ・ソンウさん、3人の演技がとても魅力的で役にはまっていた印象でした。今回のキャスティングの決め手や、監督から見た御三方の役者としての魅力をお聞かせいただければと思います。
カン監督:本作は実在の3人が登場するので、それぞれの登場人物を一番よく表現してくれる俳優をしっかり選んでキャスティングすることが成功すれば、この作品の半分はもう成功だろうなという風に私は考えていました。そういった意味でも、それぞれ3人の俳優さんというのは、それぞれの3人の登場人物像に一番近くもあり、また一番上手く表現してくれる人だという風に思ってキャスティングをしました。
実際に、3人それぞれが120%上手く表現をしてくれたからこそ、素晴らしいハーモニーが生まれたのかなと思います。
IKA:今後監督が撮ってみたい作品やジャンルを教えてください。
カン監督:今まで、私は1940年代から1950年代ぐらいの作品を何本か撮ってきたので、「なぜ君は昔の話ばっかり作るのか」という風に言われることもあります。だからというわけでは決してないのですが、私もそろそろ少し方向転換が必要なのかなということを考えたりもしています。かといって、今まで私が作ってきた作品と全く別のジャンルということにはならないと思うのですが、ストーリーや映画的な文法というものを少し変えてみてもいいのかなという思いはあります。そのため、現在どのような新しいジャンル、ストーリー、アプローチ方法があるのか模索しながら次回作について考えています。
いかがでしたでしょうか?
多少の脚色はありつつも、事実に忠実で、いわゆる自国を必要以上に祭り上げて大げさに感動させる内容ではないところもこの作品の良さ。
監督自身も一番力を入れて撮影したというラスト15分、息をするのも忘れるくらいのマラソンシーンは必見です。たくさんの想いを胸に、ひたむきに走り続けた彼らの真実の物語を是非劇場でご覧下さい!
映画『ボストン1947』は8月30日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショーです。
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投稿を表示たかえさん、観てきましたよ☺️めちゃくちゃ感動しました✨
3人の演技が本当に素晴らしかった!特にイム・シワンくんが大好きなので、もう細かい感情の表現とか上手すぎて泣きました😭ラスト良かったですね~!
そして監督さんへのインタビューすごいです😆質問の文章もいいですし、写真もいいですね~✨
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投稿を表示takaeさん、いいですね〜。監督さんとご対面の上、インタビューなんてすごすぎる〜😆
この映画は気になってましたが、この記事を読んだらますます見に行かなきゃ!って思いました。
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投稿を表示たかえさん 素敵✨監督さんと一対一で取材だなんて👏自分だったら緊張しすぎて無理😅監督さんに取材するにあたって 事前に色々シュミレーションした事でしょう✨たかえさんにとって記憶に残る作品になりましたね👍絶対に見に行く🔥🔥
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