カッツ
2025/10/27 08:26
八月の濡れた砂
1971年、藤田敏八監督、村野武範主演。湘南の海を舞台に、気だるく無軌道な若者たちの退廃を描いた作品である。
ストーリーは荒削りで、演技も決して洗練されているとは言えないが、それでもなぜか夏になると観たくなる不思議な魅力がある。昔の湘南の海の雰囲気がよく映し出されており、今でも湘南をドライブするとロケ地が自然と目に留まる。
そして何より印象的なのが、エンディングで流れる石川セリの『八月の濡れた砂』。この曲が映画全体を包み込み、作品を一段高い場所へと引き上げている。切なくも美しい旋律が、青春の儚さと夏の終わりを静かに語りかけてくるようだった。
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