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Yuji Abe
2025/07/22 19:46

【鬼滅の刃 無限城編】IMAX必須!これは”弱さ”と向き合う、あまりにも苦しい「答え合わせ」だ。

1日に20回以上もの上映回数。それなのに、席が取れない――。
もはや社会現象と化した『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』。私もその熱狂の渦に飛び込み、固唾をのんでスクリーンを見つめてきました。

 

原作を読んでいる私にとって、この鑑賞は「答え合わせ」。しかし、冒頭の胡蝶しのぶさんの壮絶な精神力での戦闘で、体力を全て使い果たし、正直、その後はしばらく惰性で観てしまうほど、あまりにも苦しい体験でした。

 

これは、単なるバトル映画ではない。作り手の覚悟と、”弱さ”というテーマが突き刺さる、あまりにも人間くさい物語です。

 

遂に、鬼舞辻無惨の拠点である「無限城」での最終決戦が幕を開ける。異次元の空間で、鬼殺隊の精鋭たちは、上弦の鬼たちと一人、また一人と対峙していく。本作は、TVアニメの延長線上ではない。CGを駆使した、観客が映像の中に入り込んでしまうほどの圧巻の迫力で、映画館でしか体験できない「新しいカテゴリー」のアニメ作品として、最終決戦の火蓋を切る。

TVアニメの延長ではない。”映画”として作られた圧巻の映像体験

 

まず特筆すべきは、その映像のクオリティです。
 

無限城の立体的で奥行きのある空間表現は、まさに圧巻の一言。IMAXレーザーのような最新鋭のスクリーンで観ることを強く、強くお勧めします。

キャラクターたちが縦横無尽に駆け巡るその空間に、まるで自分もいるかのような錯覚に陥り、彼らの息遣いや感情がより鮮明に伝わってくる。これは、ただのアニメの映画化ではなく、”映画館で観ること”を前提に、完璧に設計された映像体験です。

 

私にとっての鬼滅の刃 ― ”弱さ”と向き合う物語
 

この作品を観て、私が改めて感じた『鬼滅の刃』の魅力。それは「自分の弱さを克服できず鬼になった者と、弱さを誰かに支えられながらも人で在り続けた者との対比」です。

避けられない苦難に立ち向かい、前へ前へと進む若者たちの姿に勇気をもらう一方で、私はこの物語に、あの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』にも通じる、苦しくてたまらない痛みを感じていました。

 

鬼たちが敗れる時、彼らは人間だった頃の自分の弱さと向き合い、その全てを受け入れて消えていく。その姿は、あまりにも切なく、心が痛む。そして同時に、私たち観客一人ひとりの心の中にある「弱さ」をも浮き彫りにします。これは、自分自身が強く生きていかねばならない、という作り手からの”戒め”なのかもしれません。

 

原作を知っているかで感想が分かれる作品

 

この映画は、原作を知っているか、知らないかで、全く違う感想を抱く作品だと感じました。

原作ファンにとっては、あのシーンが、あのセリフが、最高のクオリティで描かれることに感動し、そして知っているからこそ苦しむ「答え合わせ」の時間になります。
 

一方、アニメで初めてこの物語に触れる人にとっては、あまりにも衝撃的な展開の連続に、言葉を失うことになるでしょう。

 

その感想の分かれ目こそが、この「無限城編」という物語が持つ引力の証明なのかもしれません。

これは、心をすり減らしながらも、あと1、2回は観に行きたいと思わせる不思議な力を持った映画です。壮絶な戦いの奥にある、人間の”弱さ”と”愛”の物語を、ぜひ劇場で体感してください。

 

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