待望のCD発売! いまでも財前!
「渡辺岳夫 ドラマ音楽メモリアル」というCD発売されました。その収録曲に「白い巨塔」の音源がありまして、ついに出たか!と思わず入手しました。
■これまで何度も映像化されてきた「白い巨塔」は、「砂の器」とならぶと映像化原作言えるでしょう。1966年の山本薩夫監督による大映映画が最初の映像化で、キネ旬ベストワンに選出されています。
■舞台となる浪速大学医学部は大阪大学と当然、連想します。大阪大学の教授に聞いたのですが、
前年に吉永小百合主演「愛と死を見つめて」が、同大学病院が舞台となって知名度、好感度があがって、大阪大学としてほくほくでした。ところが「白い巨塔」が公開され、大阪大学の病院の評判は地に落ちたらしいです。
実際のモデルは千葉大学らしいです。山崎豊子は次期教授選をめぐる攻防を東西対決に設定したたことが、読者を惹きつける作品となりました。
■冒頭のCDに話を戻します。収録曲は1978年に放送されたフジテレビの「白い巨塔」です。映画化された小説「白い巨塔」は主人公、財前五郎が教授選で勝利を勝ち取るもの、誤診裁判を起こされ、教授選同様に権謀術数をめぐらし、ここでも勝利を得る、そこで結びます。映画も同様のエンディングです。
財前五郎の傲慢な生き方と、裁判での勝利。財前と対照的に医師の良心をつらぬく里見が大学から追放されていく結末はあんまりだと、山崎豊子に抗議の投書が多数寄せられました。
本来、完結させていた作品ですが、意を決してその続編を執筆し、「続・白い巨塔」が発刊されます。続編では財前五郎のその後が描かれ、控訴審でついに敗訴し、胃癌で命を落とすまでを描きます。
映画版で主役を演じた田宮二郎が原作権を得て、映画化はできませんでしたが、ドラマ化にこぎつけます。フジテレビ版には「田宮企画」がクレジットされています。
■テレビ版の音楽は都会的なクールなサウンドかつ、財前五郎の野心がロマンがフレーバーされた楽曲になっており、たいへん評判となりました。野望に溢れた男ですが、昇り詰めていくさまに、どこか憧れを感じさせます。
ドラマのオープニングに「財前教授の総回診が始まります」というアナウンスから、白衣の医師、看護師たちが病院の廊下を大名行列のごとく歩くさま、権威の象徴としてこのテーマが流れます。
■実はこれだけ反響がありながら、CD化されてませんでした。
放映時に田宮二郎の唄と、おそらくこのメインテーマを収録したドーナツレコードは発売されていたようですが…10年以上まえに渡辺岳夫の作品集CDに、この「白い巨塔」の音源が1曲だけ収録されていました(このCDも入手しました)。
昭和ドラマのミュージックファイルが発売されていくなか、この「白い巨塔」だけはCD化されず、音源はもはや存在しないのかと、思われていました。
が、渡辺岳夫の事務所にほぼ保管されていたとのことです。(もっと早く出してくれ~)
■このCDでわかったことは、フィルムスコアリングで作曲されていることでした。
エピソードごとに映像に合わせて制作されていたシンクロスコアだったのです。
テレビドラマの音楽は映像を見ず、イメージで何十曲もつくって、1日か2日で収録していくのがほとんどです。
■田宮二郎、念願の映像化とともに、音楽もたいへん意欲的に制作されたことを改めて知りました。
CDを聞きながら、各エピソードを回顧して楽しんでます。
■まだ白い巨塔には語りたいことがあります‥‥