ワンダー 君は太陽
『レディ・バード』は、私にとって青春映画の金字塔で、何度観ても胸が熱くなり、笑って泣いて、観終わったあと自分の高校時代を振り返りたくなる最高の作品です。2017年のグレタ・ガーウィグ監督デビュー作(日本公開2018年)で、シアーシャ・ローナン演じる高校3年生のクリスティン(自称レディ・バード)が、2002年のカリフォルニア・サクラメントで、家族、学校、恋、将来への不安と全力でぶつかり合う物語。ガーウィグ自身の半自伝的な要素が詰まってるだけあって、細部がすごくリアルで、観てるこっちが「これ、私の青春じゃん!」って錯覚しちゃうんですよね。
まず心に刺さるのは、母マリオン(ローリー・メトカーフ)との関係。レディ・バードは母親の厳しさや期待に反発しまくり、喧嘩ばかりだけど、その裏にある深い愛情が、言葉じゃなく仕草や視線でじんわり伝わってくる。母親の「君は特別じゃない」みたいな言葉に傷つきながらも、実は母親も貧乏で家族を支えるために必死だって気づく過程が、もう切なくてたまらない。ローリー・メトカーフの演技が鬼気迫るくらいリアルで、娘を叱りながら涙をこらえるシーンは、何度見ても胸が締め付けられます。シアーシャ・ローナンのレディ・バードも最高で、わがままで自己中で、でも純粋で脆いところが完璧に描かれてて、彼女の表情一つ一つに感情が乗ってるんです。
日常の小さな出来事が全部輝いてるのも大好き。カトリック女子高の制服姿で友達とくだらない話したり、バンドのボーイフレンドにフラれたり、大学進学の願書をこっそり出したり…そんな何気ないシーンが、青春の甘酸っぱさを凝縮してる。音楽も最高で、Dave Matthews BandやJustin Timberlakeの曲が流れるたびに、2000年代初頭の空気感が蘇ってきてノスタルジック。ラストの電話シーンは、もう涙なしには観られない。レディ・バードが故郷を離れて初めて「サクラメント」って自分の街の名前を口にする瞬間が、静かに、でも強く心に響くんですよね。
正直、ストーリーは派手じゃないし、大きな事件もない。でも、それが逆に「本当の青春ってこういうこと」って思わせてくれる。ガーウィグの脚本と演出が繊細で、誰もが少しずつ成長していく優しさがある。観終わったあと、家族に連絡したくなるような、温かい余韻が残る映画です。