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カッツ
2025/12/23 08:27

100円の恋

2014年/監督:武正晴 安藤サクラ主演

2014年公開の日本映画『100円の恋』は、第88回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表に選ばれ、主演の安藤サクラが日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、国内外で高く評価された作品である。R-15指定となっているが、どうしてこれがR15指定なのかわからない。生々しい生活描写や人間関係の荒さが理由なのだろうか?

物語は、実家でだらだらと暮らす“ぷーたろー”の女性が、ボクシングを通して自立へと向かっていく姿を描く。一見すると「ロッキーの女性版」のように思えるが、序盤の彼女は本当にどうしようもない“クズ”として描かれ、周囲の人間もまた同じように問題だらけで、観ていて嫌悪感すら覚えるほどだった。途中までは「見なきゃよかった」と思うほどの鬱屈した空気が漂う。

しかし、ボクシングに出会ってからの主人公の変貌ぶりは圧巻である。体は引き締まり、表情は凛とし、だらしなかった髪を切り落とすことで、まるで別人のように輝き始める。ラストの試合シーンは迫力があり、安藤サクラのフットワークや動きのキレは、相当な練習を積んだことを感じさせる見事なものだった。

荒んだ日常から抜け出し、自分の力で立ち上がろうとする主人公の姿は、観る者に強い余韻を残す。決して爽快なだけの物語ではないが、その泥臭さこそが『100円の恋』の魅力であり、安藤サクラの圧倒的な演技が作品を唯一無二のものにしている。

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