DISCASレビュー

スティーブン・スピルバーグ監督による社会派ドラマであり、SFではなく、実話に基づいた報道の自由をめぐる緊迫の物語である。主演はメリル・ストリープとトム・ハンクス。1970年代初頭、ベトナム戦争の泥沼化に苦しむアメリカを舞台に、政府が隠していた戦争の真実を暴く新聞社の闘いが描かれる。
ベトナム戦争に関する国防総省の極秘文書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」をスクープした新聞社に対し、政府は記事の差し止めを求めて圧力をかける。報道の自由を守るべきか、それとも会社の経営を優先すべきか――経営陣と記者たちの間で意見が対立し、首脳陣は苦渋の決断を迫られる。
報道とは何か、真実を伝えることの意味とは何かを問いかける本作は、現代にも通じるテーマを持ち、静かでありながら力強いメッセージを放っている。