DISCASレビュー

カッツ
2025/11/20 07:14

背徳の王宮

朝鮮王朝第10代国王・燕山君(ヨンサングン)の実話をもとにした歴史ドラマである。希代の暴君として知られる彼が、自身の欲望を満たすために国中の美女を王宮に召集させたという逸話を軸に、愛憎と権力が渦巻く宮廷劇が展開される

1万人を超える女性が強制的に王宮へ集められ、その中から選りすぐりの美女が「王の女」として選ばれていく。生きるために美しさを武器にするしかない女たちの姿は、哀しくも逞しく、欲望と生存本能が交錯する濃密な人間模様を描いている

物語は冒頭から官能的な描写で始まり、王宮という閉ざされた空間の中で、女性たちの競争と嫉妬、そして権力者の気まぐれが織りなす緊張感が続く。その中で、愛とは何か、忠誠とは何かを問いかけるような展開が印象的だった。

一見すると男性の欲望を満たすための物語のように見えるが、実際には女性たちの生き抜く力や、権力に翻弄される人間の弱さと強さが浮き彫りになっている。歴史の闇を描きながらも、現代にも通じるテーマが潜んでいるように感じた。

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