『近畿地方のある場所について』- 謎解き好きに捧ぐ、真夏に凍る本格オカルトミステリー
久々に、女優・菅野美穂の凄みをスクリーンで堪能したい。そんな想いで、私はこの映画のチケットを取りました。
最近の日本のホラー映画は、斬新なアイディアで進化を続けています。大ヒットした『変な家』が「間取りの謎」と「恐怖」を掛け合わせたように、本作『近畿地方のある場所について』は、「オカルト雑誌の取材」と「本格ミステリー」を融合させた、新たな傑作でした。
あらすじは、オカルト雑誌の敏腕編集者である主人公(菅野美穂)。ある日突然失踪した前任者が残した、近畿地方で起きた数々の怪事件の資料を引き継ぐことに。バラバラに見えた事件を一つ一つ追ううちに、彼女は全ての事象が繋がる、恐ろしい一つの「場所」の謎に辿り着く。
点と点が繋がる快感。推理好きにはたまらない構成
この作品の最大の魅力は、その巧みなミステリー要素です。
各地で起きた、一見無関係に見える怪事件の数々。それらが主人公の取材によって、少しずつ一本の線で結ばれていく構成は、推理好きにはたまらない快感があります。もちろん、題材はホラーなので曰く付きの出来事ばかり。じわじわと背筋が凍るような、適度なドキドキ感がたまりませんでした。
久々の主演!菅野美穂が魅せるリアリティ
主演の菅野美穂さんの演技が、このオカルトミステリーに確かなリアリティを与えています。怪異に直面した時の、恐怖と好奇心が入り混じった表情。謎が解けていく瞬間の、知的な眼差し。彼女が演じるからこそ、私たちはこのありえない物語にグッと引き込まれてしまうのです。
伏線に集中!ラストのカタルシスを味わうために
一つだけ、これから観る方にお伝えしたいことがあります。それは、「伏線が非常に緻密である」ということです。
私自身、少し複雑な伏線を完全には飲み込みきれず、最後のドラマチックな展開を100%楽しむことができませんでした。しかし、それは裏を返せば、非常に練られた脚本である証拠。ぜひ、スクリーンに映る資料や証言の一つ一つに集中してみてください。全ての謎が解けた時、きっと最高のカタルシスが待っているはずです。
この夏、極上の”ひやり”を体験したいあなたへ
暑い夏に、ただ怖いだけじゃない、知的好奇心も満たしてくれるホラーが見たい。そんな方に、本作はまさにおすすめの一本です。