スポーツ映画ベストテン
こんにちは、じょ〜い小川です。
今日、8月のお題出ましたね。
早速やりました(笑)。
ということで、今回のお題はスポーツ映画。
はいこれ、
ぶっちゃけ、読みがやや当たりました。
ま、非常に優しいお題で直ぐに作りました。
こういう時は空でスラスラ出てくるタイトルがその人の芯をついたその題材に適した映画だと考えているので、ザッとタイトルを挙げて、そこからプロレス映画や格闘技(キックボクシングとかカンフーとか)を題材にした映画、スポーツ映画でも個人的に評価が微妙なものを省いて、それなりに熟考しました。
では、長いですがお付き合い下さい。
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10位:『ロード・オブ・ドッグタウン』
まずはスケートボードを題材にしたキャサリン・ハードウィック監督作品『ロード・オブ・ドッグタウン』。1975年のカリフォルニア州ヴェニスビーチを舞台に、サーフボードショップ「ゼファー」を起点に結成されたスケート・チーム「Z-BOYS」の栄枯盛衰の物語。
とにかく音楽がカッコいい。前半に「Z-BOYS」が初お目見えになる大会に酒を飲みながらカーステでナザレスの「Hair of The Dog」(日本語で迎え酒の意味のスラング)をガンガンかけて車で来場というだけでも不適切で最高なんだけど、指定競技で共通のBGMを使っているのにヒース・レジャーが演じるコーチが審査員席に乗り込んで「俺たちはこの曲にしろ!」と強引にカセットテープを渡して、ブラック・サバスの「Iron Man」で競技をするとよりカッコいいことをやってのける。
こんな具合でディープ・パープルの「Space Truckin」がかかる中でのループスケーティングや飲み会での大喧嘩でフェイセズの「Stay with me」がかかるなど、70年代ロック好きにはひたすらたまらない映画である。が、あえて10位にしたのは終盤の展開が個人的に今ひとつだからかな。実話だし、泣けるエピソードなんだけど、出来れはロッド・スチュワートの「Maggie May」がかかるシーンで終わって欲しかったかな。
9位:『マネーボール』
9位にはブラット・ピット主演、ベネット・ミラー監督作品の『マネーボール』。野球映画でひたすらGM、フロント目線というのが新鮮だった。映画におけるプロデューサー目線に当たる映画。
日本のプロ野球でGMというと、1980年代半ばの西武ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)や90年代の福岡ダイエーホークス(現・ソフトバンクホークス)を手掛けた日本球史に残る「級界の寝業師」こと根本睦夫氏や1995年だけ千葉ロッテマリーンズのGMをやった広岡達朗氏、最近ならDeNaベイスターズのGMで、中畑清氏を監督に招聘した高田繁氏が直ぐに思い浮かぶが、ズバリ、そのポジションの話。
野球の試合のシーンがほとんどない映画だけど、この映画で初めて知ったジョナ・ヒルや、フィリップ・シーモア・ホフマンが演じるチームの監督の雇われ監督・現場監督っぷりも印象的で、違う角度から楽しむ野球の舞台裏映画でしたね。
8位:『2番目のキス』
8位も続いて変化球タイプの野球ファン映画でドリュー・バリモア主演、ファレリー兄弟監督作品の『2番目のキス』。せっかくカップルになったジミー・ファロンが演じるベンとドリュー・バリモアが演じるリンジーだけど、子供の頃から熱烈なボストン・レッドソックスのファンのベンはシーズンが始まると、リンジーをそっちのけでレッドソックスに夢中…それで「2番目のキス」ということになる。
原題は「Fever Pitch」で、日本では『25年目のキス』と『50回目のファースト・キス』と併せてドリュー・バリモア主演ラブコメのキス三部作の最終作になっている。ドリュー・バリモア主演のラブコメ(キス三部作以外も含めて)の中でも彼氏のボンクラっぷりが凄まじいし、球場でのデートでもコメディ映画的にも笑えるシーンがある。ラブコメ映画だけど、一応野球ファン映画ということでランクイン。
7位:『42 ~世界を変えた男~』
7位も……あ、またまた野球映画だ。この辺はなんでも野球に例えたがる昭和おじさんなので許して(笑)。ここでチャドウィック・ボーズマン主演、ブライアン・ヘルゲランド監督作品『42 ~世界を変えた男~』がランクイン。
黒人初のメジャー・リーガーのジャッキー・ロビンソンの伝記映画。1940年代半ばのアメリカの話で、60年代の公民権運動よりも遥かに前だから人種差別が凄まじい。相手チームだけでなく、球場の客からもブーイングの嵐だは、チームメイトとも微妙だはの人種差別映画でもあったりする。
この映画で恥ずかしながらニグロリーグやジャッキー・ロビンソンを知りましたね。あ、あとチャドウィック・ボーズマンという俳優もこの映画で初めて知って、後にブラックパンサーとして世界的に有名になるとはこの時は思いも寄らなかったね。
6位:『WAVES/ウェイブス』
6位はA24製作の『WAVES/ウェイブス』。一見、ヒューマンドラマのようだけど、前半はアマレスをやる高校生の話で、輝いていた高校生の青春が奈落の底へと見事に転落を遂げる見事なカタストロフィーと家族の人生をも巻き込んだ怒涛の荒波にただただ打ちのめされる。
綺麗な彼女との甘い日々とアマレスで大学への奨学金入学が望め、その上家族との仲も上々で順調に人生を謳歌しようとしていた高校生のタイラー君の人生のしくじりを見事に描いてるんだけど、そのしくじり方が半端なく、主人公も観る者も絶望の底へと叩きのめされる。これぞまさしくアマレス高校生のカタストロフィー。冒頭から10分くらい主人公の人生の充実っぷりというか「ウェーイ!」な様子から、まるで炎が徐々に燃え広がるように不幸が忍び寄ってくる。その原因も2つばかりあって、この2つを受け入れられない事で流れがあらぬ方向へと展開する。
後半は別の人物が主人公になるんだけど、喜びの日々からの奈落の底への転落、そこからの這い上がり。この高低の波が激しく、だからこそドラマチックで見る者の多くが惹きつけられる。優等生の転落劇、堕ちるサマは極上の絶望。と言いつつもいかに人生を受け入れるか、という重要さも痛感できる。
5位:『THE FIRST SLAM DUNK』
5位はアニメ映画から『THE FIRST SLAM DUNK』。1990年代に週刊少年ジャンプにて連載していた井上雄彦原作の「SLAM DUNK」を原作者自らが再構築させ作り上げたアニメ映画。インターハイ2回戦の秋田県代表の山王工業との戦いにスポットをあて、尚且つ、宮城リョータ視点を中心に展開した別角度の「SLAM DUNK」。
原作におけるこの部分が水島新司原作の野球漫画「ドカベン」における甲子園での明訓高校VS土佐丸高校における大熱戦に当たることから、本来の主人公・桜木花道やゴリこと主将の赤木剛憲、流川楓、三井寿などのシーンも群像的に交え、一気に見せる。
バスケットボールの試合シーンも臨場感たっぷりで、終盤の秒刻みの攻防も手に汗握る興奮の演出は見応え抜群。
4位:『ザ・ファイター』
4位はマーク・ウォールバーグ主演、デヴィッド・O・ラッセル監督のボクシング映画『ザ・ファイター』。ボクシングで世界王者を目指す弟をトレーナーの兄や母親がマネージャーをやって支えるんだけど、兄貴のディッキーが麻薬に溺れて微妙にダメな兄貴で弟の足を引っ張りつつも、最後は兄弟で世界王者戦に挑む(ディッキーはトレーナー)など胸熱な展開。
ホワイトスネイクの1987年のヒット曲「Hear I Go Again」が全く違う三つのシーンでかかり、それぞれ意味があるなど演出も秀逸。
3位:劇場版 『アンダードッグ』 【前編】
3位は『百円の恋』の武正晴監督による森山未來主演のボクシング映画、劇場版 『アンダードッグ』 【前編】。「前編」とあるように「後編」もあるが、この『アンダードッグ 前編』のみが圧倒的なクオリティなので単独で3位にランクイン。英語で「敗北者」、「負け犬」、「噛ませ犬」といった意味合いを持つ「アンダードッグ」をタイトルにし、あきらかにボンクラなボクサーの映画かと思って見たら、期待がドンピシャ! 森山未來演じる中年の噛ませ犬ボクサーだけでなく、お笑い芸人の宮木瞬やシングルマザーのデリヘル嬢の明美など、北村匠海が演じる大村龍太以外はほとんど負け犬だらけの鈍重なヒューマンドラマに仕上がっている!
前半は主に主人公・末永晃の普段の生活ぶりを中心に展開。中年負け犬ボクサーで、昼間はサウナとデリヘルの運転手で、練習は主に夜、自宅では年老いた父親と二人暮らしで汚くて狭い。妻とは別居、ヘビースモーカー、暇な時間には図書館で過ごしたりピンサロへ通うなど、どこを切っても負け犬の金太郎飴状態でエレジーに満ち溢れている。
主に夜の運転手でボクシングの練習も夜で、夜行性な動きはまるで『タクシー・ドライバー』のトラヴィスと被るが、決して世の中を憎んでなく、ただただかつての日本ランキング1位の夢をもう一度、という感じでボクシングにすがる。
末永晃ばかりでなく、対戦相手になるお笑い芸人の宮木瞬も強烈な「負」と「闇」のニオイがある。一見華やかな芸能人の世界にいる宮木だが、基本的にはギャグが面白くない大物俳優の二世タレントで、その親の金で連日自宅マンションでどんちゃん騒ぎをする退廃ぶりも見せる。そんなお笑い芸人がテレビの企画でボクシングをする様はどう見てもテレビのおふざけ企画にしか見えないあたりに悲哀があり、宮木がそんな状況から真剣になる姿にそそられる。
こうしたマイナスな背景がある2人の試合はマイナス×マイナスがプラスになるような異様な面白さがある。勝利に向かう普通のボクシング映画とは違って、歪な光りを放つボクシング映画で、その「負け犬」ぶりは『タクシー・ドライバー』やアキ・カウリスマキの「負け犬三部作」に勝るとも劣らない、パーフェクトな「負け犬」映画である!!
2位:『フォックスキャッチャー』
第2位はアマレスを題材にしたスティーブ・カレル主演、ベネット・ミラー監督作品『フォックスキャッチャー』。アマレスを題材にしながらも最終的にはサスペンスになる終始ダークな雰囲気のスポーツ映画。
要は、金メダルを獲ったにもかかわらず経済的にも世の中の認知度もいまいちなマーク・シュルツにボンボンのパトロン(デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポン)が自らの私財でアマレスチーム「フォックスキャッチャー」を結成し、世界選手権などを目指す、というのが大まかな流れ。普通のアスリートを取り上げた作品なら、環境が整ったんだから勝利に邁進し、基本的に明るい雰囲気の作品になるが、『カポーティ』と同様にとにかく暗く、重い。
メインの人物、ジョン・デュポンとマーク・シュルツのバックボーンが徹底的に描かれ、この二人の精神のどんよりとした感じが作品を支配している。この暗さ、重さがヒューマンドラマとしてもサスペンスとしても上質な物に仕立て、事実を興味を惹き付ける。
そんな中で笑いの演出も見せる余裕も見られた。コメディの笑いとは違い、皮肉や冷たい笑いで、その笑いによりさらに暗さ、重さが増す。
普通のスポ魂物に飽き飽きした方は絶対必見だし、『ファーゴ』や『フローズン・リバー』のような暗く、重いドラマ、サスペンスが好きな方も必見!
1位:『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
第1位は意外にも女子フィギュアスケートを題材にした、マーゴット・ロビー主演、クレイグ・ギレスピー監督作品『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』。アメリカの女子フィギュアスケートで初めてトリプルアクセルを決めた実力者だが、それ以上にナンシー・ケリガン襲撃事件で世界中から脚光を浴びたトーニャ・ハーディングの半自伝映画!
ある意味荒川静香や浅田真央よりも強烈に覚えているのがナンシー・ケリガンを襲撃したトーニャ・ハーディングじゃないだろうか? そのトーニャ・ハーディングの半自伝映画なんだが、いやーーーー、素晴らしい!! ナンシー襲撃事件までのトーニャ・ハーディングの軌跡を追いながら、彼女の人生の光と陰を見事に描いている。いや、光が1/10ぐらいの氷山の一角で後は陰で、お騒がせな彼女にぴったりな自伝映画!!
トーニャ・ハーディングの生来からあると思われる攻撃的な性格もあるが、それ以上にトーニャの母親や元旦那のジェフ、ジェフの友人ショーンなど周りが揃いも揃って屑でボンクラで、貧困、労働者的な生活臭が強烈。フィギュアスケートをやる環境としては最悪な環境の中、それこそごみ溜めの中からトーニャが才能と攻撃的なキャラクターでのしあがっていく。
トーニャも才能以外は周りの環境の影響でやさぐれと気性の荒さ全開。タバコはスパスパ、食事の行儀の悪さ、なんでも相手にズケズケ言う性格。それが競技の表舞台に出るときに滲み出ていて、競技の審査員の心象を悪くしている。
元旦那のジェフとの一瞬の仲むつまじい時以外は、母親は暴力&罵詈雑言、ジェフもDV、競技に出れば審査員と観衆からの厳しい目線、というふうになにかと敵が多い中をやさぐれと気性の荒らさで切り抜けるトーニャはスケートリンクの花と言うより毒々しい華である。
中盤からのトーニャと元旦那ジェフとの仲が悪くなってからナンシー襲撃事件までの流れはまるでコーエン兄弟のサスペンス映画のようなドジな男たちの負のスパイラルが渦巻くクライム・サスペンス。トーニャ、母親、ジェフ、ショーンのインタビュー回想録なので一見多角的証言の『羅生門』のように見えながら、実は答えはハッキリと見えている。
同系統のダーク、ダーティなアスリートのサスペンス映画に第2位に挙げた『フォックスキャッチャー』があるが、あそこまで不穏でないもののちょっと近い匂いはある。その違いとしては、負の連鎖を作り出す元旦那ジェフやショーンらのトーニャに対する身の丈のあわない愛情とドジさ、感覚のズレ。この情けない男たちが織り成す奇妙なハーモニーにコーエン兄弟監督作品的なブラックなコメディセンスがある。
さらにそれを彩る70年代~80年代のポップ、ロックナンバー。カナダの女性ハードロックバンドのハートの「Barracuda」なんかは荒ぶるトーニャの闘志にリンクしてたし、実際にトーニャのフィギュアスケートでも使われたZZ TOPの「Sleeping Bag」も80年代半ばのアメリカの雰囲気にばっちりあうし、エンドロールに流れるスージー&ザ・バンシーズによるイギー・ポップのカバー曲「The Passenger」もトーニャのやさぐれた波乱万丈な人生に同調し、仄かな感動を覚える。
マーゴット・ロビーのスケートのシーン、エンドロールに映るトーニャ本人のそれとほとんど変わらない。あれは凄い。それとオレゴン州ポートランドやミネソタ州ミネアポリスとかアメリカの北の方の田舎の風景、ファミレスやトーニャの家から滲み出る労働者・下流層の風景、アメリカのフィギュアスケート界隈の風景などどれも良かった。1975、6年から20年ぐらいのアメリカの時代を一気に駆け抜けるが、基本は80年代の風景なんだよね。
田舎の風景は『スリー・ビルボード』、下流層の風景は『フロリダ・プロジェクト』が被った。その象徴がファミレスのバイトとアパートみたいな住まい、喫煙&飲酒癖かな。シリアルの食べ方(スプーンの持ち方)一つを取って見ても育ちの悪さ、環境の悪さが分かる。
そんな中で、トーニャと父親との狩猟のシーンに一服の清涼があった。どこの国でもスポーツマン、アスリートって育ち云々があるけど、古くは「巨人の星」、リアルでは辰吉や亀田一家など、決して育ちがよろしくなくても日本では「ハングリー精神」として通じちゃうが、アメリカって意外にも家庭の育ち云々を見ちゃうんだね。いや、アメリカじゃなくてフィギュアスケートの世界観がそうなのかな。
トーニャがやさぐれればやさぐれるほど、周りが屑でボンクラであればあるほど、映画としては面白くなる。ライバルのナンシー・ケリガンを始め、それこそ後にフィギュアスケート界で活躍した荒川静香やキム・ヨナの方がフィギュアスケート史には残るが、おそらく彼女らのサクセスストーリーを映画にしても面白くないだろう。トーニャ・ハーディングだからこそ後世にも語り継がれる傑作が生まれた!
ということで、スポーツ映画ベストテン、いかがでしたでしょうか?あくまでもボクのセレクトなので比較的ダークな映画をチョイスしました。他にも『ロッキー3』や『メジャーリーグ』、『がんばれ!ベアーズ』あたりも頭にはありましたが、その辺りはボクよりも他の方達が素敵に紹介することでしょう。ご参考になれば幸いです。
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投稿を表示フォックスキャッチャー🦊最強ですね。戦々恐々、驚くべき実話でした。
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投稿を表示私の大好きな【2番目のキス】(←これ、邦題へんですよね、内容とあってない気がします)がラブコメではなく、スポーツものとしてラインクインしているのが嬉しいです(^^♪
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投稿を表示じょ〜いさんの原稿早くてビックリです✨引き出しがいっぱいあってスゴいなぁといつも思います☺️
「アイ、トーニャ〜」はマーゴット・ロビーの役者魂が感動モノですね!
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