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2024/03/20 10:16

ゴジラ総進撃!!~2024年 アカデミー賞~

皆さんこんにちは!

椿です!!

アカデミー賞!

振り返ってみると、今期アカデミー賞にノミネートされていた作品をほとんど見ていない、という、ここで映画のことを語るシネマニストを名乗ってよいものなのかどうか、大いに疑問の残る椿でございました・・。

そう、これもみ~んな、あの映画のせい!!
2023年11月3日の公開初日から2024年3月18日に至る現在まで、とうとう17回劇場に通ってしまった、あの映画・・・。

この17回を10回くらいに減らしておけば、7回は違う映画を見に行くことができたのに・・・。

まったく、罪なやつよのぉ・・・

 

『ゴジラ-1.0』

(c)2023 TOHO CO., LTD.

まずは

 

日本アカデミー賞最優秀作品賞含め8冠受賞!

 

まぁ、ゴジラ映画では前作『シン・ゴジラ』が7冠受賞の前例があるので、まぁ、なくはないかな?と思っていましたが、8冠とは・・。ものすごく豊作だった2023年日本映画界において、技術に関する賞を受賞するのはありかな、と思っていましたが、まさか作品賞までをも受賞するとは、正直驚きでした。

個人的な感想を言ってしまうと、我が愛するゴジラ映画が作品賞や脚本賞など、技術賞とは別の、作品自体を評価され与えられる賞を受賞できたことは素晴らしいと思うし、ゴジラファンとして誇らしい、と思うのです。

ただ、2023年の邦画は大変すばらしい作品が目白押しで、その中をかいくぐっての「作品賞」が果たしてふさわしかったのか??と思うと、少々複雑な気持ちです。ノミネート作品の中にも、またノミネート外の作品の中にも、作品のテーマや、その映画の社会への存在意義、邦画の技術・作品の更なる向上と発展に寄与した作品が多くあったからです。こういった賞レースは世間の耳目を集めるわけですから、もっと広い視点で作品を選べたのではないかな?

 

日本アカデミー賞は歴史が浅いとはいえ日本映画の賞レースでは一番規模が大きくて注目度も高い。いろんな映画関係者やスポンサー等の思惑?もあるでしょうし、日本アカデミー賞の色、みたいなものもあるでしょう。
ただ、どうしても、アカデミー賞ノミネート選定から公開日が近く、話題・鑑賞の印象ともに強く残っている状態だったことが影響しているのではないかな?とすら、正直思ってしまうのです。
『ゴジラ-1.0』公開時の評判といえば、大絶賛の声がある一方(あっ、もちろん、椿は大絶賛の方ですよっ)で、過去の山崎監督の作品と同列に扱って、「泣かせようとしている」「まどろっこしい台詞」「くさい芝居どうにかならんか」みたいな評が多かったのも事実。これらの声を封印しての受賞には、海外での興行収入や評判の高さ、キャラ強な「ゴジラ」を話題にすることで、今後スポンサー企業などがゴジラを使ってなにかしらのPRを売ったりしやすくなる、なんて思惑も働いているのではないか・・・。
そんな椿特有の天邪鬼な思いが働いてしまいました。

安藤サクラさん!主演&助演W受賞おめでとうございます!
(c)2023 TOHO CO., LTD.

と、ゴジラ映画ファンらしからぬ感情を抱いてしまった・・。

 

ああっ、ゴジラ映画ファン失格!!

 

まぁ、でも、邦画には、小さい規模の作品も救い上げて良質な作品を表彰する、例えば先日の「毎日映画コンクール」のような粒ぞろいの作品を挙げる賞も多いので、ここは「お祭り」という意味もこめて、『ゴジラ-1.0』!8冠受賞、おめでとうございます!!

 

 

米国アカデミー賞視覚効果賞受賞!!

 

日本アカデミー賞8冠受賞の喜びの興奮も収まらぬ中、今度は本場、米国アカデミー賞の授賞式。
何といっても、日本映画で初めてとなる「視覚効果賞」のノミネート。この時の発表での山崎監督以下、VFXを担当した「白組」の皆さんのはしゃぎ様が動画で公開されましたが、やはり、相当に嬉しかったようですね。

それはそうでしょう。
自分達の技術でよみがえったゴジラが、自分達が常にあこがれを持っていたハリウッドの視覚効果に認められたわけですものね。

本賞は、様々名称を変えたり、表彰自体が無い時もありましたが1929年の、第1回アカデミー賞の時からあった、非常に由緒正しい賞なのです。そして、受賞作は当然華々しい、映画の歴史を刻む作品ばかり。
『十戒』『ベン・ハー』『ナバロンの要塞』『史上最大の作戦』『2001年宇宙の旅』『スターウォーズ(トリロジー)』『レイダース』『E.T』『エイリアン』などなど・・・・
「映画」の歴史自体が、『月世界旅行』のような、観る人を驚かせる奇術から発展した芸術であることを考えると、まさに、「視覚効果」は「映画」そのものである!と言っても過言ではない。(飽くまで椿個人の感想ですっ)
 

驚きをもって迎えられた日本の「ゴジラ」


そんな表彰にノミネートされたマイナスワン。しかし、ここに協力なライバルたちが控えます。
当然ハリウッドが満を持して発表した大作ばかりですから、製作費は軽く100億円を超えています。それに引き換えゴジラは15憶円程度。単純に製作費でみれば、太刀打ちできるものでは到底ありません。でも、椿は、そして、多くのゴジラファンは、マイナスワンが受賞する!!と確信をもっていました。

 

他作品の特殊効果、もちろん、相当素晴らしいし、すごいのです。

でも、でもね。
『ゴジラ-1.0』にはまさに「驚き」が観客の中にあったと思うのです。
 

他作品は、これまでハリウッド作品がやりつくしてきた「CGによる豪華絵巻」で、観ている観客も「あっ、こういうのCGで作れちゃうよね。」また、登場人物たちがアクロバットにアクションを披露する非現実感には、少々食傷気味になっていたのではないでしょうか。

では『ゴジラ-1.0』はどうかというと、特殊視覚効果が極めて効果的に「驚き」ポイントを設定して観客を導いていったと感じます。
 

その「驚き」のポイントは、リアルさの追求とゴジラの恐怖の描き方にあったと思います。戦争ですべてを失ってしまった日本。その日本がゴジラという驚異に立ち向かうためには、超兵器などない、極めて現実的な戦法で対峙してゆくしかない。そのような状況を描くためには徹底したリアリティが必要になりますが、ゴジラの登場と破壊を、ハリウッドの映画のように「派手に」描くのではなく、シンプルに描くことで、破壊される街並みや人々の営みのリアリティが映え、ゴジラの恐怖をより一層際立たせることに成功しています。


アメリカ人のYoutuber達が『ゴジラ-1.0』の公開前トレーラーを見ての自身の反応をアップした動画を見ているとその誰もが一様に、ゴジラ登場に驚き、船の下を泳ぐゴジラに驚き、飛んでくる電車に驚き、飛んでくる船に驚き、崩れる町、踏みつけられる人々に驚愕する。あの短い予告編だけで、彼らの狂喜乱舞する姿を見ても、映画本編を見たであろう彼らの衝撃は想像に難くありません。


また、ゴジラを「自然の驚異を具現化した」生物として丁寧に描いていることも、重要です。ハリウッドゴジラはモーションキャプチャーによりゴジラを描いているためか「人間臭さ」が随所に現れて、時に閉口してしまうような動きを示すことすらあります。(なにせ、ハリウッドの新作ゴジラでは、キングコングと競走しているシーンが公開され、ファンから失笑が・・・(;^_^A)
⇒余談ながら、昭和ゴジラは空を飛んだり、シェーをしたりするので、走るのもあり、かなぁ、とは思いますがっ、(笑)

海外のゴジラファンと交流をもつと、彼らも口々に「ゴジラ」は日本でこそ映画化されるのがふさわしい、というのですが、その理由として「ゴジラへの畏怖が感じられる」「自然を破壊された人間に対する怒りをもった生物として描かれている」ということがよく挙げられます。ゴジラは長らく「着ぐるみ」により、俳優によって演じられてきました。中島春雄氏や薩摩剣八郎氏らのといった、もはやゴジラのスーツアクターとして伝説ともいえる役者と、特殊技術を担うスタッフたちによって、いかに巨大で恐ろしい「生物」を表現するかに、研究に研究を重ね、さまざまな試行錯誤のもとに作られた歴代ゴジラの蓄積が、VFX時代のゴジラにもしっかりと受け継がれているからこその、ゴジラに生命感が与えられたといえるでしょう。
これは、ハリウッドにはまねのできない、日本ならではの「ゴジラ」なのであり、「ハリウッド的」なゴジラを見慣れてしまった観客にとって、大きな衝撃をもって迎えられたゴジラなのです。『シン・ゴジラ』では能楽師の野村萬斎氏がモーションキャプチャーアクターとして参加。「日本的なゴジラ」の動きに能の立ち居振る舞いをのせて、存在感のあるゴジラの描写に成功しています。そういった流れを汲みつつの今回のマイナスワンゴジラは、古典的な動きを見せつつも放射能火炎(アトミックブレス)を吐き出す際の、青白く(チェレンコフ光のような)輝く、背びれチャージのといった、現代的な描写をうまく組み合わせてゴジラを描き、世界だけでなく、日本のゴジラを長く愛でてきたファンさえも度肝をぬかせたのです。
 

数年前、ゴジラとサントリーの缶コーヒーBOSSとのコラボCMで、伝説的スーツアクター、中島春雄氏を描いた作品がカッコいいので動画添付しますっ

『ゴジラ-1.0』の視覚効果賞がノミネートされた際、山崎監督や「白組」の皆さんの大はしゃぎぶりは先に動画で載せましたが、発表された際の会場でも、他作品が普通の拍手だったのですが、「ゴジラマイナスワン!」と作品名が呼ばれたときの会場に、より大きな拍手と、他作品では挙がらなかった「歓声」が上がったことを鑑みても、世界の「ゴジラマイナスワン」の視覚効果賞受賞の期待が非常に大きかったと言えます。

 

低予算なのにここまでやるんかい!?

 

ハリウッドが、全米の映画ファンが驚いたのはこれも一つの理由でしょう。バカスカヂャンと金をつぎ込んで、大量のスタッフで作られたハリウッド映画に比べ、一桁少ない予算でたった35人のスタッフで作った特殊撮影の映画が、大作ハリウッド映画を凌駕するものを作ることができるなんて!!これは相当にショックだったようです。

 

ただ同時に、山崎監督&「白組」にハリウッド作品ほどの予算を与えられ映画がつくられたなら、もっともっと驚くようなゴジラが見られたかもしれない。そう思うと、この評価により「小さくても、小回りの利く」的なのが日本の良さだ!と言わんばかりに、相変わらず低予算なまま作品作りを強いらせるのではなく、「日本映画」が十分に海外に誇ることのできるコンテンツとして潤沢な予算を得て作られることを今後、強く望みたいものです。

 

制作側の意気込み

 

受賞に関しては、実際の作品の素晴らしさ、特殊技術の素晴らしさもさることながら、東宝制作陣のロビー活動も有効に働いたと言えます。
東宝は今まで、自社映画を海外進出させる際は、その海外の映画配給会社に宣伝等を委託して行われていたようですが、今回、東宝は海外での自社映画を自身で売り込むための会社(TOHO Global)を設立。この『ゴジラ-1.0』が、その会社が初めて世界展開を手掛ける作品となったのです。

東宝の大看板である「ゴジラ」。その作品の海外への売り込みを東宝自身が行う。この意気込みは、海外向けに作られたトレーラーを見れば明らか。非常に効果的かつ、揺動的に見る者を煽るシーンをチョイスして、いやがうえにも盛り上げてくれる内容です。見せるところは見せる、でも肝心なところは「劇場で観てね💛」な感じがすごくよい。あれでは、誰もが劇場に足を運びたくなります。

公開時には山崎監督以下、VFX「白組」のメンツや出演者の神木隆之介さんなどが訪米しPRに余念がなかった、アメリカのマスコミにちゃんと露出していたことも大事だったと思います。
そして、アカデミー賞ノミネート前には、アカデミー会員向けの作品プレゼンである「Bake Off」にも山崎監督、「白組」が参加。アカデミー会員への真摯な売り込みが功を奏したのは言うまでもありません。
 

 

そして、感動の授賞式

 

不肖椿、アカデミー賞授賞式は仕事中のため見ることができなかったのですが、仕事仲間が「椿さん、ゴジラやりましたよ!アカデミー賞!おめでとうございますっ」って、わざわざ報告してくれました(笑)


「当然ぢゃん!!」
 

と私。しかし、すぐさまトイレにこもって、、、


泣きましたよ!ゴジ泣きっ!!!
 

おめでとぉぉぉっ、おめでとぉぉぉぉっ!!
って、我が事のように涙が止まりませんでしたっ
 

で、帰宅後、表彰式の様子をネットで観たら、いやもう、感動。
まず、プレゼンターがアーノルド・シュワルツネッガーとダニー・デヴィート!!

これ、豪華すぎでしょ!!というか、80・90年代にスクリーンを賑わせていたダニー・デヴィートの懐かしい姿に感激したし、この2人と言えば、今の、暗い影を引きずる「バッドマン」よりも自分が好きな90年代の、カートゥーン版バッドマンをリスペクトした『バッドマン』シリーズの悪役Mr.フリーズとペンギンを演じた二人ではないですか!!というところで、のっけから萌えポイント全開!!

しかも、しかも、その『バッドマン』ネタ(当然と言えば当然)を展開!
 

し・か・も!!

なんと客席にはバッドマンを演じたマイケル・キートンが居るではないですか!?そして二人はキートンにちゃちゃを入れて会場の爆笑を誘う。キートンも笑顔を見せず「かかって来いよ」みたいな態度!もうおかしくておかしくて!こういうのって、アメリカのエンタメは上手い。

 

そして、緊張の瞬間!

シュワちゃんが

 

「ガ(とオの口をしてガという)ズィィラ!」(石原さとみほど「ガ」とは言わない)

 

というと、会場は大歓声!!
そして流れてきたのは伊福部昭のゴジラメインテーマ!!

おおおおおおおおおおっ!!ハリウッドでも、ゴジラはこの曲!!!と認知されてる!!
この瞬間に、この音楽・・・

 

だめだ・・。泣く・・・・。

 

山崎監督と「白組」のメンバーが登壇。

客席から「ゴジラーーーーー!!!」と叫び声。あれは「ガズィ」でなく「ごじ」と言っていたので、おそらく日本人でしょうね(笑)

 

そして山崎監督のスピーチ!
監督は、興奮のあまり、用意した原稿を読んでいたのですが、途中でどこまで読んだかわからなくなってしまうご愛敬。

しかし、そのスピーチは感動ものでした。

 

「『スターウォーズ』や『未知との遭遇』に出会って、私のキャリアは始まった。ハリウッドから遠く離れた人間には、このステージに立つことなど及ばぬ夢と思っていた。ノミネートが決まった瞬間、我々はロッキー・バルボアな気分になった。とても手ごわいライバルが居る中で・・・、あっ?あっ?あっ??(ここでどこまで読んだか一瞬わからなくなる)そんなリングへようこそ、と・・。

 

しかし!立ち上がろうじゃないか!!!

 

ハリウッドから遠く離れていても、彼らは耳を傾けてくれている。
だから誰にもチャンスがある!僕らが賞をとったように!!」

 

そして、本作に貢献し、公開前に逝去されたプロデューサー、阿部秀司氏への感謝の言葉で締めくくられました。

 

山崎監督のメッセージは、監督の映画オタクぶりを象徴するかのようなジョークも交えつつ、今、映画を作っている非アメリカ圏の人々や、今後映画製作や特殊映像技術分野の仕事を目指したい若者への夢を喚起させるような素晴らしいものでした。

 

夢はかなう。

 

アメリカンドリームを、日本人が、ゴジラが到達した、まさに素晴らしい瞬間でした。


過去のゴジラ映画に携わったすべての人々、長らくゴジラ映画を支え、ゴジラを日本の最強コンテンツとして作り上げたすべての皆さん、とりわけ、日本の特撮に関わって、様々なゴジラを生み出した円谷英二氏、中野昭慶氏、川北紘一氏ら、鬼籍に入られた特技監督の皆さんも、天国でこの吉報を喜んでいることと思います。

 

本当に素晴らしい映画を、そして素晴らしい瞬間を、映画ファンに味合わせてくれた山崎監督!ありがとう!!

 

そして、

 

ゴジラ!!お前、サイコーだ!!

 

(c)2023 TOHO CO., LTD.
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1 件の返信 (新着順)
はじめ バッジ画像
2024/03/20 22:47

やっぱり椿さんの情報量と、アウトプット力は本物ですね。。凄すぎて(笑)
そして、やっぱりあの言い方大好きです。「ガズィィラ!」(笑)


椿五十郎 バッジ画像
2024/03/21 22:53

ありがとうございますっ、いつもダラダラ長くなるコラムにコメントいただき、本当に感謝ですっ。
ガズィィラッ!は石原さとみさん以来、どうも耳についてしまいます(笑)
でも、今回のマイナスワンを見たあちらの観客は、ハリウッドゴジラとマイナスワンゴジラを区別して、日本語的な口調で「ゴジラ」と呼称してる人も多いですね。

はじめ バッジ画像
2024/03/22 09:39

ではDiscover usを代表して、椿さんに「ガズィィラッ!」を世界に広めてくれることを祈っておきます(笑)

椿五十郎 バッジ画像
2024/03/29 16:32

インターナショナルには石原さとみさんが広めてくださってますので、
Discover us内ということで・・・(;^_^A