ストーリー

「ビフォア・ザ・レイン」（1994年）のサウンドトラックは、ミルチョ・マンチェフスキー監督のマケドニアを舞台にした三部構成の戦争ドラマを彩る、アナタシア（Anastasia）による深みのあるスコア。マケドニアの民族音楽と現代的な要素が融合し、バルカン半島の民族対立と悲劇を情感豊かに表現。重厚な弦楽と伝統楽器が、修道院の静寂、ロンドンの喧騒、戦場の緊張感を繋ぐ。特に「Main Title」は、哀愁漂うメロディで映画のメビウスの輪のような循環構造を象徴。土着的なリズムと不協和音が、登場人物の運命と戦争の無常さを強調する。全体として、映画の哲学的で重いテーマを支える荘厳なサウンドトラックだが、単体で聴くとやや断片的で、映画の文脈が強く求められる。マケドニアの風景と人間ドラマを音で感じる一枚。