DISCASレビュー

カッツ
2025/11/03 07:54

飢餓海峡

1965年公開、三國連太郎、左幸子、高倉健、伴淳三郎らが出演する『飢餓海峡』は、人間の業と社会の闇を描いた重厚なサスペンスドラマである。
物語の中で、三國連太郎演じる男を慕う娼婦を左幸子が演じている。少し知的に遅れのある女性として描かれながらも、「ただただ会ってお礼がしたい」と純粋な思いをぶつける姿には、哀しさといじらしさが滲み出ていた。
その一途な思いが悲劇を招き、彼女は命を落としてしまうが、左幸子の演技はその運命を静かに、しかし深く刻み込んでいた。
古い作品で画質には粗さがあるものの、彼女の演技に込められた感情の深さは、時代を超えて心に迫ってくる。
この映画は、左幸子という女優の存在感によって、より一層の価値を持つ作品だと感じた。

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