私の好きな映画

カッツ
2025/12/15 12:58

リトルチルドレン

2006年/監督:トッド・フィールド/主演:ケイト・ウィンスレット

本作は、ボストン郊外の閑静な住宅街を舞台に、平凡な日常に潜む倦怠感や欲望を描いた人間ドラマである。ケイト・ウィンスレットは、エリートの夫と3歳の娘と共に暮らす主婦を演じ、彼女の持つ繊細さと力強さが最もよく表れた作品のひとつと感じられる。ウィンスレット自身も、このような中年女性の複雑な心情を演じることを好んでいるのではないかと思わせるほど自然な演技である。

主人公は、公園で子どもを遊ばせる日々の中、司法試験合格を目指す“プロム・キング”と呼ばれるハンサムな男性と出会い、次第に関係を深めていく。一方で、かつて性犯罪で服役していた男が街に戻ってきたことで、住民たちは不安と偏見に揺れ、静かな街は騒然となる。

作品はアメリカの中流家庭の生活を丁寧に描いており、市民プールや公園、通勤電車などの風景がリアルに映し出される。車社会のイメージが強いアメリカにも、日本のような通勤風景や近隣住民の視線の煩わしさが存在することが示され、文化の違いと共通点が浮かび上がる。

昼間からの逢瀬に象徴される退廃的な雰囲気は、平凡な暮らしの中に潜む危うさを際立たせている。やがて物語は再び日常へと収束していくが、その過程で描かれる人間の欲望と葛藤は観る者に強い余韻を残す。

コメントする