一作品ごとに違った顔を見せてくれている内田英治監督の最新作はそのタイトル通り非常に静かなテンションのラブストーリーでした。

2020年の「ミッドナイトスワン」で一気に注目の存在となりましたが、その次が「異動辞令は音楽隊！」ときて「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」でした。

そして今年、まずこの「サイレントラブ」が公開され、さらに2月には土屋太鳳主演のサスペンススリラー「マッチング」ですから、振れ幅広すぎますよね。

光を失ったヒロインに対して徹底した献身で支え続ける声を捨てた青年、これだけで充分ラブストーリーに仕立てることができると思いますが、内田監督はさらに一歩、二歩踏み込んだ展開を用意しています。

「シン・仮面ライダー」、「ゴジラ-1.0」と大作が続いた浜辺美波ですが、今回は等身大のキャラクターになっています。

相手役として彼女を支える山田涼介もセリフに頼らない演技に挑んでいます。

2時間弱の上映時間でかなりストーリーが二転三転するので”ただの静かで穏やかな映画”だと思うとちょっとビックリします。タイトル通り静かな映画ではありますが、そこに焼き付けられた熱量はちょっといびつさを感じるほどです。

メインの二人のやり取りが少ない分久石譲の音楽が心に残ります。