DISCASレビュー

カッツ
2025/10/23 07:27

ジョーカー

「バットマン」シリーズの悪役ジョーカーを題材にしているが、本作はヒーロー映画とは一線を画し、バットマンとの直接的な関係はない。監督はトッド・フィリップス、脚本はフィリップスとスコット・シルヴァー、主演はホアキン・フェニックス。ロバート・デ・ニーロも脇を固めている。
精神を病みながらもコメディアンになることを夢見る主人公アーサーは、社会の冷たさと無理解の中で、次第に追い詰められていく。何をやってもうまくいかず、孤独と絶望が積み重なっていく様子は、観ていて胸が痛くなるほどだった。
日本でもこの映画に影響されたとされる事件が起きたが、作品を通して加害者の心情に少しだけ触れられるような気がした。もちろん行為は許されるものではないが、社会の底辺で生きる者の苦しみや孤独を鋭く描いた本作は、単なる犯罪映画ではなく、現代社会への強烈な問いかけでもあると感じた。
 

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