ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は、私にとって前作『ボーダーライン』の冷徹な緊張感を継承しつつ、さらに深く人間の闇と救いのなさを抉り出す、息苦しくて忘れられない続編です。2018年の映画で、デニス・ヴィルヌーヴ監督が抜け、エミリー・ブラントも不在という不安を吹き飛ばすくらい、ベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロの孤独な復讐劇が胸に突き刺さるんですよね。
アレハンドロは前作以上に「怪物」として描かれていて、カルテルに家族を殺された過去の傷が、彼を無慈悲な暗殺者に変えてる。でも、任務で護衛することになった少女イサベル(イザベラ・モンロイ)と行動を共にする中で、少しずつ人間らしい感情がよみがえる過程が、もう切なくてたまらない。デル・トロの無表情で淡々とした演技が、逆に内面の葛藤を際立たせてて、目が離せない。ジョシュ・ブロリン演じるマット・グレイヴァーも、CIAの冷酷な男として相変わらず汚い手を使いながら、どこかで良心の呵責を感じてる姿がリアルで、二人のかすかな絆みたいなものが描かれてるのが最高です。
アクションは前作以上に容赦なくて、砂漠での銃撃戦や、カルテルの報復が吹き荒れるシーンは緊張感が半端ない。国境の闇を、麻薬から人身売買へシフトさせたテーマが現代的で、誰も正義じゃなく、誰も救われない世界を容赦なく突きつけてくる。ラストの余韻は特に強烈で、観終わったあとしばらく放心状態になるくらいの衝撃。少女の運命やアレハンドロの選択が、すべてを象徴してる感じがして、胸が締め付けられます。
前作の洗練されたスタイルに比べて少し荒削りで、説明不足な部分もあるけど、それが逆に「現実の戦争はこんなもんだ」ってリアリティを出してると思う。デル・トロの演技と、全体の重苦しい空気感が、私の心に深く刻まれてるんです。