見事な生涯 丹波哲郎
昭和の名優のひとり、丹波哲郎の書籍が刊行されました。
丹波哲郎自身の著作物が多々あるようで、大半が霊界に関するものです。
その大半がゴーストライターによるものです。
後年はテレビのバラエティーに出演し、その豪放磊落ぶりを披露。俳優として台本を読んでこない困ったぶなど紹介されてました。
本書ではそのあたりどうであったか?について、フィルモグラフィによる章だてで構成されています。
この俳優について言及するなら、007とその後の日本映画の大作の常連にあります。
「007は二度死ぬ」は日本を大々的にロケした外国映画随一の作品。当初は三船敏郎にオファーがあったようですが、荒唐無稽なストーリーと日本をフジヤマ芸者的な描写を嫌い、断ったようです。
丹波哲郎はその前に、監督のルイス・ギルバート作品に出演していて丹波を高く評価していたこもあり、この役が回ってきました。その「第七の暁」で主演のウィリアム・ホールデンと堂々
と渡り合っていたことも評価されたようです。007ではショーン・コネリーをワンランク下の俳優とみなしていたようです。のちにショーンコネリーが性格俳優として頭角を現したときには驚いたと言っています。
得意?の英語のセリフを必死で覚えたのですが、公開版に吹替になっていって怒り狂ったとのこと。
また有名なエピソードで共演の浜美枝をプロデューサーが降板させようとしたとき、丹波は「そんなことをすれば彼女はホテルから飛び降りると言っている。007は公開できなくなるぞ!」と得意のハッタリをかまして、事なきを得ました。浜美枝は全く知らなかったようです。
このあと「キイハンター」、「Gメン75」などの人気長寿ドラマで知られることになりますが、このことについて、「人に命令するだけで楽なんだ」と。
しかしながら映画ではその傍若ぶりに反して熱演作品があります。
「日本沈没」の山本総理、「砂の器」での刑事や「人間革命」の戸田城聖、「二百三高地」の児玉源太郎など、これらの作品ではその存在感を遺憾なく発揮してます。
今日、これだけ貫禄のある俳優が皆無となりました。
総理大臣、科学者、宗教者、軍人、やくざの幹部、弁護士に刑事、イエスズ会司祭にホームレスまで
多岐にわたる役を演じてます。演技巧者ではなく、存在感を出せる俳優です。
前述した高倉健、鶴田浩二のような主役オンリーのタイプではありませんが、大作にかかせない人物です。
残念ながら今の俳優陣にこんな貫禄を求めるの酷なこと。戦争体験とか歩んできた人生も違います。
後半は自分のライフワークというべきか、取りつかれた霊界の世界。ここでやや怪しい人間関係などが記述されてます。また、「隠していないのに隠し子いた」と愛人関係など、影の部分も言及されています。