DISCASレビュー

カッツ
2025/11/23 07:53

イル・ポスティーノ

1994年、イタリアとフランス合作ヒューマンドラマ。舞台はイタリアの小さな島。純朴な青年が、島に滞在する詩人との交流を通じて成長していく姿を描いている。物語は、実在したチリの詩人パブロ・ネルーダが祖国を追われ、カプリ島へ身を寄せた史実をもとにした小説を原作としている。詩人が主人公ということで、映画自体も詩が沢山出てくる。

イタリアの漁村、美しい海、人々の温かな人情が織りなす映像は、観る者の心を穏やかにし、ほのぼのとした余韻を残す。ゆったりとした気持ちになりたいときにふさわしい作品だと感じた。

主人公の郵便配達人を演じたマッシモ・トロイージは、心臓に病を抱えながら撮影に臨み、撮影終了からわずか12時間後に41歳で夭逝した。本作は彼の遺作となり、その事実が映画に一層の切なさと深みを与えている。

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