DISCASレビュー

カッツ
2025/11/05 07:38

パラサイト

2019年公開の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』は、ポン・ジュノ監督によるブラック・コメディ・スリラー。ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョンらが共演し、格差社会の闇を鋭く描いた作品である。米国アカデミー賞を外国映画として初めて取った。

物語は、狭く薄汚れた半地下のアパートに暮らす貧しい一家が、巧妙な手口で裕福な財閥一家に取り入り、次第にその生活に寄生していく様子を描く。韓国に「半地下」という住居形態があることを、この映画で初めて知ったが、それ自体が社会的な象徴として機能しており、階層構造のメタファーとして非常に効果的だった。

前半から中盤にかけては、緻密な脚本と演出で物語がテンポよく展開し、ユーモアと緊張感が絶妙に交錯する。特にチョ・ヨジョンが演じる“お高くとまった奥様”は、無邪気さと無意識の差別を併せ持つキャラクターとして印象的である。

ただし、終盤にかけては展開が急激に加速し、やや混沌とした印象を受けた。物語の収束が唐突で、感情の整理が追いつかないまま幕を閉じるような感覚が残った。

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