カッツ
2025/11/05 07:41
クロッシング
2008年公開の韓国映画『クロッシング』は、2002年に実際に起きた脱北者25人によるスペイン大使館駆け込み事件をモチーフに、北朝鮮の過酷な現実と家族の悲劇を描いた作品です。監督はキム・テギュン、主演はチャ・インピョ。ロケは中国、モンゴル、韓国で極秘に行われ、脱北者問題のセンシティブさが制作背景にも色濃く反映されています。
物語は、病気の妻のために薬を求めて北朝鮮を離れた元サッカー選手の父ヨンスと、彼を探して旅に出る11歳の息子ジュニの視点を交互に描きながら進行します。父は中国で公安の目を逃れながら働き、やがて韓国に渡るも、家族を呼び寄せる手段を模索する日々。一方、息子は父の行方を追って国境を越え、過酷な旅路の果てに思いがけない運命に直面します。
北朝鮮の炭鉱町での生活描写は、極度の貧困と情報統制、そして人々の諦めがリアルに映し出されており、観る者に強烈な衝撃を与えます。この映画を通じて、脱北という選択がいかに命がけで、そして報われないことも多いかを痛感させられます。
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