IMAXで観たい!体感型映像美映画3選!
こんにちは、じょ〜い小川です。
お題が出たら、なる早でやる男。
それが、じょ〜い小川です。
“なる早”とは“なるべく早く”、もう一つ砕くと、
できるだけ早く。
ということで、2つ目の
「IMAXで観たい!映像が美しいオススメ作品」
も早速書きます。
残った「映画のお供はこれ!イチ押し映画館フード」に関しては……門外漢なので1、2周間ぐらいかけてやる以外ない。そういうこともある。
さて、お題には「IMAXで観たい!」とある。
ん、IMAX対応の作品限定ということかいな。
ということで3本選びました。
1.『ダンケルク』
まずはクリストファー・ノーラン監督のこの作品。第二次世界大戦で実際にあったダンケルク大撤退(ダイナモ作戦)を元にした戦場脱出劇。 異なる時間軸のドラマを併せ、これまでになかった新感覚の戦場ソリッド・シチュエーション・スリラー!!
ストーリーはフィン・ホワイトヘッドが演じるトミーという英国陸軍二等兵視点の陸篇と『ブリッジ・オブ・スパイ』のマーク・ライランスが演じる小型船の船長を中心とした海篇、そしてトム・ハーディが演じるイギリス空軍パイロットの視点を中心とした空篇の3篇の異なる視点からの「ダンケルク大撤退」。さらに、この3つはそれぞれ1週間(陸篇)、1日(海篇)、11時間(空篇)とドラマのスパンが異なっているが、それがある段階でバチッと合うように作られている。この手法だけで言えば、感覚的にはアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの『アモーレス・ペロス』の3篇を同時並列にやったような感じであり、その手法を戦争・戦場映画でやってのけたのが大胆である。
もちろん、時間軸いじりのトリックだけではない。本作はどの3篇も極力セリフを廃した演出をとり、その代わりハンス・ジマーによるBGMが常に不安を煽るようになり響く。こうした意味では誰が主人公というドラマではなく、戦場の張り詰めた空気、ナチスドイツが襲ってくる緊張感、なかなか脱出出来ない焦燥感を伝えた歴代最高の戦場映画であり、これまでにありそうでなかった戦場のソリッド・シチュエーション・スリラーである。
言ってしまえばフィン・ホワイトヘッドが演じるトミー英国陸軍二等兵視点の陸篇はトミーによる大逃走劇とも超絶巨大な戦場リアル脱出ゲームと言いたいが、あの逃げ逃げ大逃走劇な展開は今にして思うと当時ヨーロッパで起きていた難民・移民問題にも通じているようにも見えなくないし、それが第二次世界大戦のダンケルクか現代のヨーロッパかの違いである。
この映画が伝えたい一番のポイントは終盤にあり、そこでこれまでに起こっていたドラマとの違和感を感じ、戦場の真実を噛み締めることになる。1960年代のフランス兵視点の『ダンケルク』(同名異作)とは逆位置を見事に描き、クリストファー・ノーラン作品特有の登場人物らのトラウマも健在。『インセプション』、『インターステラー』とは違った次元である『ダンケルク』は出来ればに映画館のIMAX上映で体感していただきたい。
尚、ボクは通常スクリーン版、通常IMAX版、あと通常IMAXより大きい成田HUMAXシネマズにあるIMAXデジタルシアター(グランドシネマサンシャインのIMAXレザーが出来るまでは関東では一番大きいスクリーンだった。現在は日本4位。)で見たが、冒頭シーンや海篇のクライマックスや空篇のドッグファイトなどはわずかな違いだったが、このシーンが一番違った。
↑このシーン、これだと半分しかなく、この下半分に意味があるシーンなので、成田で見て意味が分かった。…なので、クリストファー・ノーラン監督の作品はIMAXで見ないとアカンということです。
2.『NOPE/ノープ』
お次は
『ゲット・アウト』、『アス』と人種差別を上手く取り入れた奇っ怪な世界観を見せつけ、圧倒的なインパクトを与えるのジョーダン・ピール監督が作りたかった新感覚のUFO映画『NOPE/ノープ』。奇抜・斬新なアイデアがバシバシ決まり、スピルバーグとジャパニメーションのオマージュに調教師や撮影監督、元子役らが織りなす裏ハリウッドの哀愁が漂う独特な世界観をたっぷり堪能出来る。
何よりも、メインである未確認飛行物体を竜巻やゲリラ豪雨といった災害や謎の巨大生物のように見せるというアイデアが斬新。怪異が起こる前兆はヒッチコックの『鳥』のようであり、飛行物体そのものは大胆に見せ、そのチラつかせと思いっきり見せる塩梅が絶妙。
怪現象描写も『サイン』や『フォーガットン』、『ハプニング』など、ここ20年近くの同系統の映画の反省というか、ジョーダン・ピール監督による「俺ならこうやる!」というのを見せ、これがUFO/UMA映画への模範解答であり、『未知との遭遇』や『E.T.』、『宇宙戦争』を手掛けたスティーブン・スピルバーグに対するアンサーとも見られる。
また、これとは別にOJを中心とした馬の調教、ジュープが子役時代に関わった「ゴーディ事件」など「調教」「支配」というテーマもそこここで見受けられる。そこに未確認飛行物体や気象、電気など人がコントロールできそうでできない物が暴走し、パニック、ホラーを生み出す。
デジタル、CG全盛の現代においてアナログな発想でダイナミックに見せた未確認飛行物体やクライマックスのバトルをどう思うかがこの映画の評価の分かれ目になるが、全編で感じ取れる映画愛やアナログ力にただただ感服! ジョーダン・ピールはシャマランどころか、クリストファー・ノーランやドゥニ・ヴィルヌーヴ、いや、スピルバーグやキューブリックに近づいた2020年代の代表作と言いたい。
3.『ハドソン川の奇跡』
『ジャージー・ボーイズ』、『アメリカン・スナイパー』など大傑作を次々と世に送り出す巨匠クリント・イーストウッドによる奇跡的な生還劇として知られるUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称“ハドソン川の奇跡”を実写化した映画で、ハドソン川に航空機を不時着させた機長の事故体験記とその後のヒューマンドラマ。航空機の不時着をあらゆる角度で見せ、単なる救出劇に終わりがちな題材で“人間”を見せた!
一応、事故を回想するシーンもあるが、これがメインではなく、川に不時着させることが正しい判断だったか検証するドラマである。事故の時のシチュエーションを事細かに再現し、観るものも検証の場に引き寄せる。
その前2作『ジャージー・ボーイズ』や『アメリカン・スナイパー』とはタイプがまるで違うし、純粋な航空機事故のパニック映画とも違う。終盤8分のシーンにほぼ全てかかっていて、この緊迫感が凄まじい。それまでにしつこいぐらい検証を重ねるが、これはラストへの壮大なプレリュード(前奏曲)になっている。
この検証がリアルな旅客機シュミレーターを使って、トム・ハンクスが演じる主人公サリー以外のパイロットと、サリーにシュミレーターをさせ事故再現をするんだけど、これが映画館&IMAXだと臨場感満点。一見、繰り返して事故シーンを見るようになるけど、微妙に違う。そしてサリーのシュミレーターシーンに関してはその正確さに驚きを体感出来る。
言ってしまえば、イーストウッド版「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」と言いたい。が、イーストウッドはこれを演じる者たちに激情させず、淡々と静かに燃えるように見せる。 機長と副機長にしては間違ったことはやってないんだから『それでもボクはやってない』的な心境で、そこの所とラストシーンで“人間”を見せる。
エンドロールでもニクい演出があり、終盤に唸らされた人たちならホロッとする。1度観てピンと来ない方も2度、3度見るとかなり違う。ここ2作と比べるとおとなしくはあるが、イーストウッド節は健在。
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ということで3本ピックアップしましたが、いずれも映像美というだけでなくて、IMAXのスクリーンならではの臨場感を味わえる体感型の作品という共通点がある。そこが、2020年代の現代、もしくはそれ以降映画館が生き残る最大の鍵かもしれない。