『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』への予習としては最適な4Kデジタルリマスター上映『グラディエーター 4K デジタルリマスター』
■グラディエーター 4K デジタルリマスター

《作品データ》
『エイリアン』や『ブレードランナー』を手掛けたリドリー・スコット監督による歴史スペクタクル&アクション映画!ネルウァ=アントニヌス朝のローマ帝国で、将軍マキシマス・デシムス・メリディアスはゲルマニア遠征で蛮族との戦いに勝利し、都に凱旋し皇帝マルクス・アウレリウスの手厚いもてなしを受ける。その直後、皇帝アウレリウスは暗殺され、息子のコンモドゥスが急遽新たなる皇帝となるも、マキシマスは冷たくあしらった為、彼が故郷に戻ると想像を絶する悲劇に見舞われる。マキシマス役をラッセル・クロウ、コンモドゥス役をホアキン・フェニックスが演じ、他にコニー・ニールセンオリヴァー・リード、デレク・ジャコビ、ジャイモン・フンスー、リチャード・ハリスが出演。
・2024年10月11日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー!
・上映時間:155分
・配給:東宝東和
【スタッフ】
監督:リドリー・スコット/原案・脚本・製作:デヴィッド・フランゾーニ/脚本:ジョン・ローガン、ウィリアム・ニコルソン
【キャスト】
ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセンオリヴァー・リード、デレク・ジャコビ、ジャイモン・フンスー、リチャード・ハリス
公式HP: https://gladiator2.jp/revival/
〈『グラディエーター 4K デジタルリマスター』考察〉
『グラディエーター』と言えばリドリー・スコットの監督キャリアでも分岐点の一つとなった作品であり、俳優として脂が乗ったラッセル・クロウ、リバー・フェニックスの弟としての認知が高かったホアキン・フェニックスの出世作であり、そしてリチャード・ハリスの晩年の代表作の一つで、尚且つ、第58回ゴールデングローブ賞および第73回アカデミー賞を制覇した映画である。筆者はVHSやDVD、最近では配信で度々見ていた作品だが、スクリーンでは未見だったので、今回、4K・デジタルリマスターでのリバイバル上映ということで映画館で見てきたが、コロッセウムを中心とした剣闘士競技大会のシーンは迫力満点で、スクリーンで見てこその作品であることを改めて確認した。
将軍だったマキシマスが新皇帝コンモドゥスの策略で囚われ、逃げ延びながらも奴隷の身に堕ち、そこから剣闘士として成り上がるストーリーは何度見ても胸アッツアツ。曲線としては丁度V字になるドラマだが、奴隷剣闘士としてのシーンが長い。この皇帝&側近、観客と奴隷剣闘士達の構図、最近の作品ならば実は韓国の配信ドラマ『イカゲーム』がこれに該当する。そのローマ帝国版なんだけど、だるまさんがころんだとか綱引きではなく、鎧や盾で固めて剣をブンブン振り回して殺し合うガチなデスマッチ。非常にシンプルで、そのシンプルなものを残虐にそのまんま描く。

リドリー・スコット監督はこうした剣闘士や騎士の生々しいバトル、アクションを後にも『ロビン・フッド』や『最後の決闘裁判』、『ナポレオン』でも描いたが、この『グラディエーター』がこの手の最初の作品になる。
『グラディエーター』においてやはり目につくのは主演のラッセル・クロウよりも、悪役に当たるコンモドゥスを演じたホアキン・フェニックス。ホアキン・フェニックスと言えば近年では『ジョーカー』&『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』や『ボーはおそれている』などサイコパスなキャラを演じることが多いが、本作のコンモドゥスはそんなサイコパスモードのホアキン・フェニックスの起源を見るような作品でもある。ただ、コンモドゥスは最初からヤバいヤツではなく、ある序盤の2つのシーンがきっかけで闇堕ちするが、そこが絶妙である。
これに対してラッセル・クロウが演じるマキシマスは序盤のあシーンがきっかけで虚無になり、後半に入るまでしばらくは虚無なマインドのままのマキシマスだったりする。
つまり、『グラディエーター』は闇堕ちした二代目と虚無な元将軍の併走劇で、終盤に入って気を戻しての二人の交わりがエモーショナルである。
丁度、来月『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』のあらすじをチラ見したが、新たなるV字の復讐劇のようで、本作では脇役だったルキウスが主人公なので楽しみである。

