映画『アミスタッド』~奪われた自由を手にするために人は立ち上がる! 胸を打つ感動の実話~
概要
1839年にスペイン船籍の奴隷船で起きたアミスタッド号事件を題材にした歴史ドラマ。
奴隷として捕らえられた黒人青年がアミスタッド号で反乱を起こした末にアメリカで裁判に掛けられる姿を通して自由の尊さと人間の尊厳を描き出していく。
映画『インターステラー』、『コンタクト』で知られるマシュー・マコノヒー、『日の名残り』、『ジョー・ブラックをよろしく』、『ニクソン』で知られるアンソニー・ホプキンス、『セブン』、『エンド・オブ・ステイツ』で知られるモーガン・フリーマン、『グース』で知られるアンナ・パキンが出演。映画『シンドラーのリスト』でアカデミー監督賞と作品賞を受賞し、『プライベート・ライアン』で自身2度目のアカデミー監督賞を受賞したスティーヴン・スピルバーグが監督を務めた。

ストーリー
愛する妻子と共に暮らす青年シンケはある日、奴隷とした捕らえられ、スペイン船籍の奴隷船「アミスタッド号」に乗せられてしまう。
2か月後、キューバ沖でシンケは繋がれた鎖を外すことに成功し、拉致された仲間39人と共に武器を手にして船内で反乱を起こした。
シンケは船の舵取り役である白人の乗組員モンテスにアフリカへ向かうように伝えるが、モンテスは船をアメリカへ向けていた。
アメリカ海軍の船に拿捕された後、コネティカット州ニューヘイブンで投獄されたシンケと彼の仲間は海賊行為と殺人罪で裁判に掛けられることが決まる。
そのような時、奴隷解放論者セオドア・ジョッドソン、無名の弁護士ロジャー・ボールドウィン、元アメリカ大統領で弁護士ジョン・クインシー・アダムズがシンケとその仲間のために立ち上がる。
映画評
映画『シンドラーのリスト』でナチスドイツによる虐殺から1,200人のユダヤ人を救ったドイツ人実業家の姿を描いてアカデミー作品賞と監督賞を受賞したスティーヴン・スピルバーグがアミスタッド号事件を題材にした感動の歴史ドラマである。
映画『シンドラーのリスト』と同様に実話を基にしているのだが、意外にも『アミスタッド』がスティーヴン・スピルバーグ監督作品であることを知る人はいない。個人的な推測であるが、スピルバーグといえば『ジョーズ』、『未知との遭遇』、『ジュラシック・パーク』などがあまりにも有名であるからだろう。
数多くのヒット映画を送り出す監督にして今や名匠と言えるスピルバーグによる本作『アミスタッド』で胸を撃つシーンは法廷で黒人青年シンケがつたない英語で「我に自由を」と必死で叫ぶシーンである。鎖に繋がれた両手を見せながらつたない英語で必死に自由を求める叫び声は耳に残っている。言葉の壁を乗り越えてシンケとアダムズ元大統領、ボールドウィンが心を通わせていくシーンも感動的である。
感動的なシーンがある一方で、黒人たちが船から海へと捨てられていくシーン、粗末な食料を手に乗せられるシーン、鞭で打たれるシーンなどには目を覆いたくなってしまう。結局は奴隷は人ではなく単なる物であり、いとも簡単に捨ててしまえる物でもあることがわかる。
人が人を売買していた歴史があったことをスピルバーグ監督は観る者に突きつけてくる。それは迫害を受けてきた民族ユダヤ人の血を引く監督自身が残酷な歴史から目を逸らすのではなく見つめることが重要であると言っているようである。

トリビア
マシュー・マコノヒーは映画『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー主演男優賞を受賞した。
アンソニー・ホプキンスは映画『羊たちの沈黙』と『ファーザー』でアカデミー主演男優賞を受賞した。
モーガン・フリーマンは映画『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー助演男優賞を受賞した。
アンナ・パキンは映画『ピアノ・レッスン』でアカデミー助演女優賞を受賞した。
映画『アミスタッド』は第70回アカデミー賞でアンソニー・ホプキンスが助演男優賞にノミネートされた他、撮影賞、作曲賞、衣装デザイン賞にもノミネートされた。
アンソニー・ホプキンスが演じたジョン・クインシー・アダムズは第6代アメリカ大統領であり、父親は第2代アメリカ大統領ジョン・アダムズである。
ジョン・カルフーンはジョン・クインシー・アダムズ政権で副大統領を務めた人物であり、第7代アメリカ大統領アンドリュー・ジャクソン政権でも副大統領を務めた。
マーティン・ヴァン・ビューレンは第8代アメリカ大統領であり、アメリカ独立後に生まれた最初の大統領でもある。
映画『アミスタッド』予告編