【蔵出しレビュー】実話ベースのソマリアでの南北朝鮮の男達の共助脱出劇!『モガディシュ 脱出までの14日間』
※7月12日から公開の韓国映画『密輸 1970』のリュ・スンワン監督の前作『モガディシュ 脱出までの14日間』のレビューです。
■モガディシュ 脱出までの14日間
《作品データ》
1990年末にソマリアの首都モガディシュで起こった暴動に巻き込まれた韓国大使館員たちが北朝鮮の大使館員と共に行った命がけの脱出を描いた社会派ドラマ&アクション映画! ソマリアの駐在大使のハンは韓国の国連加盟のためのロビー活動をしていた。ある日、現政権に不満を持つ反乱軍による内戦が勃発し、ハンは滞在するホテルに軟禁状態に。
ハン大使役をキム・ユンソクが、リム大使役をホ・ジュノが演じ、他チョ・インソン、ク・ギョファン、キム・ソジン、チョン・マンシクが出演。監督・脚本はリュ・スンワン。
・新宿ピカデリーほか全国ロードショー中!
・配給:ツイン、カルチュア・パブリッシャーズ
・公式HP:https://mogadishu-movie.com/
《『モガディシュ 脱出までの14日間』レビュー》
ソマリアは薄っすら知ってるぐらいで、首都モガディシュにいたってはよく知らないぐらいで見た『モガディシュ 脱出までの14日間』。これ、見事に韓国の内乱、暴動ものの映画を応用して、アフリカの内戦での出来事に上手くアジャストしており、韓国の社会派ドラマ映画とアフリカの少年兵やテロリストが出てくるような映画を
エンターテインメント映画として昇華させている!
まずは、モガディシュの内戦の荒れ模様や、銃を持った兵士や少年兵がうようよしているヤバさがよく出ている。アフリカを舞台にした『ジョニー・マッド・ドッグ』や『魔女と呼ばれた少女』等に出てきたギャングのような少年たちや、『ホテル・ルワンダ』に出てきたフツ族の過激派のような非常にヤバいシチュエーションを再現できている。この辺りは監督・脚本のリュ・スンワンのリサーチ力と言えよう。
これに韓国の大使館と北朝鮮の大使館の南北朝鮮の人たちの呉越同舟も見どころポイント。この感覚は『コンフィデンシャル/共助』と同じようでいて、1990年のそれとなるとシビアなものになっている。特に北朝鮮側の人たちのやむを得なさ加減にグッとくる。
圧巻は終盤の攻防。攻防というか“攻”はできないから、銃であり得ないほど撃たれまくる中での車複数台での逃亡劇。さながら『マッドマックス2』を彷彿させるスリルとアクションが詰まっている。
舞台は違えど、『タクシー運転手 約束は海を越えて』や『光州5・18』、『1987、ある闘いの真実』に並ぶ韓国社会派映画に並びつつ、これにエンターテインメント性も加わっている。